学生懸賞論文集 第40号
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審査員2論  評:A:論文の形式 1.構成力(論文として章節等の体系化)C:総括 本研究は、地名が人々に災害を連想させた結果、地価を低下させる可能性を、統計分析を用いて検討したものである。本研究の最も優れた点は、その独創的な着眼点に対してきちんとした統計分析の手法を用いた分析を展開し、一定の有意な結論を得ている点にある。地球温暖化に伴って豪雨災害が頻発化・激甚化する傾向のある現代では、豪雨災害の社会的な影響を多方面から検討することが強く求められている。この点を踏まえれば、本研究は独創性に加えて一定の社会的意義も持ち合わせており、全体として優れた研究と言える。 しかし現段階での分析内容については、特に愛媛県内の公示地価データにおける「水」の文字の入った地名の少なさとそれらの地域における災害リスクの低さを鑑みると、疑問が残る部分が多く存在している。愛媛県外の地域も含んだサンプル数の拡大や、ハザードマップから把握される各地域の水害リスク等も含んだ分析など、今後の研究の発展が期待される。 先行研究の整理をした上で、本研究との相違点を導出し、それを仮説として、データを用いた実証分析を遂行しており、各章節の構成は論理に沿って論文として体系化されている。 2.文章表現力(論述の明確さ、漢字・用語の妥当性) 形式面では、不要な空行やモデルの省力などを含め、論文としての体裁として適していない箇所が数箇所見られたが、誤字・脱字はなく、論述は明確である。 3.準拠性(文献・資料の引用方法) 本研究のテーマと使用されているモデルにあった参考文献を引用しており、引用方法に問題はない。学生懸賞論文集第40号24

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