学生懸賞論文集 第40号
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1 厚生労働省HP:「個人の予防・健康づくりに向けたインセンティブを提供する取組に係るガイドラインについて」(https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000124579.html、閲覧日2021年10月6日)2 総務省HP:「インセンティブ付きIoT健康サービスの有料化挑戦事業」(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/top/local_support/ict/jirei/2017_071.html、閲覧日2021年10月6日);凸版印刷株式会社HP:「複数自治体連携型大規模健幸プロジェクト」(https://www.toppan.co.jp/news/2017/05/newsrelease170511.html、閲覧日2021年10月7日)3 厚生労働省HP:「平成の30年間と、2040年にかけての社会の変容」(https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/19/dl/1-01.pdf、閲覧日2021年10月7日);厚生労働省HP:「平均寿命と健康寿命の推移」(令和2年度版厚生労働白書 本編図表バックデータ)(https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/19/backdata/index.html、閲覧日2021年10月6日);厚生労働省(2018)「医 本論文では、インセンティブを活用した健康を促す取り組みとして、現在注目を集めている健康ポイント事業について、成果につながる要因に焦点をあてて検討するものである。 健康ポイント事業とは、個人の予防・健康づくりに向けたインセンティブを提供する取り組みのことである1。健康ポイント事業は、取り組みをおこなっている自治体によって、名称が異なっている場合はあるものの、仕組みについては、参加する住民が健康づくりのための、運動・検診・健康イベントへの参加等の健康活動を行うことにより、ポイントが付与されるというものである。2014年12月から2017年3月にかけて、総務省・文部科学省・厚生労働省などの支援のもと6つの自治体で実施された産官学連携による試験的な取り組みである「複数自治体連携型大規模健幸ポイントプロジェクト」が進められたことをきっかけに全国的に広まることになった2。 では、日本において健康ポイントがなぜ注目されているのであろうか。それは、健康ポイントを活用することによる効果や、地域社会が抱える様々な課題を解決することが期待されているからである。以下、具体例を挙げて説明する。 第一は、医療費の抑制である。近年、日本では高齢化の進行にともない、様々な課題が指摘されており、その中で平均寿命と健康寿命の差の拡大が問題視されるようになってきている。両者の差の拡大は、医療費や介護給付費の多くを消費する期間が長くなることを意味しており、将来的に少子高齢化が一層進むことが予想される中で喫緊の課題とされている3。こうした問題に対し学生懸賞論文集第40号281.はじめに

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