2.1 健康ポイント事業の背景 本節では、健康ポイント事業が注目されるようになった背景について検討する。近年、日本では、高齢化の進行にともなう様々な課題が指摘されており、個人の予防・健康づくりに向けたインセンティブを提供する取り組みとして健康ポイント事業が注目されている。図表2-1は平均寿命と健康寿命の推移を表したグラフである。グラフから分かるように、平均寿命と健康寿命の差は、年々拡大している。平均寿命と健康寿命の差は、不健康な期間を表し、この差が大きければ大きいほど、医療費や介護給付費の多くを消費する期間が長くなると考えられる。 本論文の構成は、以下のとおりである。第2章で、健康ポイント事業の現状と課題点を把握したうえで、第3章では、先行研究の結果をふまえ、本論文の課題を設定する。第4章では、本論文の課題である健康ポイント事業における参加者の歩数を増加させる要因を明らかにするための調査方法を提示する。第5章では、定量的な分析として、アンケート調査の結果をもとに重回帰分析を行う。また、定性的な分析として、愛媛県松山市保健所健康づくり推進課の方へのインタビュー調査について検討する。第6章では、これらの分析結果をふまえ、新たな政策を提案する。そして、最後に各章の内容をふまえた結論を提示する。学生懸賞論文集第40号302.現状分析
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