11 古池弘隆(2019)「健康まちづくりに関する一考察」『都市経済研究年報』(宇都宮共和大学)、1912 田中寿弥・一橋達也・皆月昭則(2020)「DXに依拠したスマートフォンアプリケーションによる市民の健康意識の変容を期待した研究」『第82回全国大会講演論文集』(情報処理学会)、365-366ページ。3.1 先行研究 本節では、健康ポイントに関する先行研究について整理する。先行研究の調査を行った結果、健康ポイントに関する先行研究は、以下の二つに大別できる。 第一は、健康ポイントの取り組みの紹介に関する研究である。代表的なものとしては、古池弘隆(2019)や田中寿弥・一橋達也・皆月昭則(2020)がある。古池弘隆(2019)では、栃木県宇都宮市で行われている「宇都宮市健康ポイント事業」のポイント付与方法や行動データの蓄積について言及している11。田中寿弥・一橋達也・皆月昭則(2020)では、北海道釧路市の「くしろ健康おうえんアプリ」を開発・実施し、運動習慣と検診受診率の向上を目指す取り組みの紹介をしている12。 第二は、健康ポイント参加や継続といった事業の活性化に関する研究である。これらの中で、代表的なものとしては、岡本翔平ほか(2017)や上村一樹・駒村康平・久野譜也(2015)がある。岡本翔平ほか(2017)では、健康ポイント事業の参加者が報酬獲得に抱く動機が、プログラムの継続率に与える影響を検証している。健康ポイント事業参加者において、地域貢献のような内発 このように、健康ポイント事業は、医療費抑制や健幸なまちづくりにつながるなど、様々な効果が期待されている一方で、事業に参加することによる健康への効果検証の必要性が指摘されている。健康ポイントによる健康への効果の検証は、事業の価値を示す指標となり、長期的に事業を行うためにも重要であると考えられることから、この問題を解決するためには何が必要なのかを、様々な側面から分析し、明らかにする必要があるといえる。学生懸賞論文集第40号34号、67ページ。3.先行研究に関する調査及び本論文の課題設定
元のページ ../index.html#41