学生懸賞論文集 第40号
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15 厚生労働省HP:「健康日本21(身体活動・運動)」(https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/ そこで、本研究では、新たな試みとして、健康増進の効果を高める要因について、定量的に分析をおこなう。効果を測る指標としては、様々なものが考えられるが、本論文では、一つの指標として、健康ポイント事業参加者の「歩数」に着目する。本論文で歩数に着目する理由は、以下の二つである。 第一は、歩数は、自治体が把握できるデータであることが挙げられる。具体的にどのような活動に対してポイントを付与するのかは、自治体によって異なっているが、多くの自治体が歩数に対してポイントの付与を行っているため、歩数は自治体が把握している可能性の高いデータであり、自治体へのアンケート調査で数値として入手できるものであると考えられる。 第二は、歩数は健康増進の効果を測る指標として適したものであることが挙げられる。厚生労働省のHPでは、日常における身体活動は、寝たきりや死亡を減少させる効果があるとされており、身体活動量を増やす具体的な手段として、歩行を中心とした身体活動を増加させることの重要性が述べられている。長期的には、10分程度の歩行を1日に数回行なう程度でも健康上の効果が期待できることから、歩数は健康への効果を示す指標として適しているといえる。また、1日1万歩の歩数を確保することが理想とされる中で、日本人の歩数の現状は、1日平均で、男性8,202歩、女性7,282歩に留まっており、歩数を増加させることは重要であると考えられる15。参加者の歩数が増加することで、健康ポイント事業の成果を高めることや、医療費の削減・最終の目標である健康寿命の延伸につながると考えられる。 これを受けて、本論文では、成果を示す指標として歩数に着目し、健康ポイント事業参加者の歩数を増加させる要因を、独自のアンケート調査の結果をもとに、定量的に分析する。その際、運営側である自治体と利用者側である住民の双方にアンケートを実施する。両者を分けて分析することで、今後注力すべきポイントが明確化される。また、定量的な分析結果を踏まえて、運営側である自治体にインタビュー調査をおこなう。分析結果をフィードバックすることで、運営側の状況を考慮した実現可能な取り組みを探ることが可能になる。こうした定量的・定性的な分析を踏まえて、新たな政策提案をすることが、本論学生懸賞論文集第40号36kenko21_11/b2f.html、閲覧日2021年10月1日)

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