学生懸賞論文集 第40号
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審査員2論  評:A:論文の形式 1.構成力(論文として章節等の体系化)れていると感じた。上記のように、問題点が指摘できる部分は決して少なくないが、学部学生が執筆する論文としては好印象であったことは強調しておきたい。 論文構成の大枠は妥当である。しかし、論文における主張の論証に必要かつ重要な概念・切り口の説明が十分にできていないのは、構成上の大きな瑕疵であると考える。とくに①「健幸」「健幸づくり」という鍵概念、②計量分析で突如出てくる「公共交通インフラの整備」など3項目、③さらにそこから設定された計9点のアンケート項目、これらについては、その内容や採用の妥当性が十分に読者に伝わるよう、論文の前半部分で明確に説明がなされるべきであった(②については、参考資料では4項目あり、1項目除いた理由も示す必要があるだろう)。 2.文章表現力(論述の明確さ、漢字・用語の妥当性) 文章表現については、問題は見受けられない。誤字などもとくに気にならなかった。 3.準拠性(文献・資料の引用方法) 引用方法は概ね適正だが、46ページ13行目の「先行研究」の明示がないのは小さな瑕疵である。資料の信頼性という点では、参考文献の論文4点のうち、学内ワークショップ、学会の報告論文、研究紀要が1点ずつを占め、信頼性の高い論文の利用が少ないのが気になった。B:論文の内容 1.テーマの設定(問題意識の独自性・妥当性) 先行研究が取り扱えていない「健康ポイント事業の健康増進という効果を促進する要因」に焦点をあてたテーマ設定には独自性があるといえる。学生懸賞論文集第40号56

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