学生懸賞論文集第41号
10/70

■ここで述べられている「外貨」とは、(国内外問わず)地域外から入ってくる貨幣のことを指す。■中村(■■■■)第■章。れらの政策を実施していることが挙げられる。上記で述べたように、地方の持続性を脅かす主な要因は「東京一極集中」であるが、これは地方と都市部の「経済基盤の格差」によって引き起こされている。地方は都市部と比べて、経済基盤が弱いため魅力的な雇用先が少なく、インフラ・サービスの充実度も低い。特に、魅力的な雇用先の有無は、人々がその地域で生活するか否かを考える上で重要な観点となる。そのため、「地方の経済基盤の強化」を行わず、出産・育児支援や移住・定住支援を充実させたとしても、それによって得られる効果は限定的となる。よって、「地方創生」の実現にあたっては「地方の経済基盤の強化」を最優先に行う必要がある。「地方の経済基盤の強化」を実現し、人々にとって魅力的な雇用を創出する手段として「移輸出産業」の創出が挙げられる。「移輸出産業」とは、ある地域内(域内市場)で作られた財・サービスを他の地域(域外市場)に移輸出することで外貨■を稼ぎ、それによって域内市場に様々な経済効果をもたらすとともに、その地域の経済基盤の強化に繫がるというものである■。これによって、地域における消費の拡大や雇用の創出をもたらすため、「地方創生」を行う上で大きな役割を果たす。このように、「移輸出産業」の創出は地域の経済基盤の強化に繫がるが、その地域との産業連関を踏まえずに単にこれを創出すれば良いということではない。日本では過去に「全国総合開発計画」に基づき、国が主導の下、地域に対して重化学工業を中心とした「移輸出産業」の誘致・開発を行っていた。これによって、当時の日本の高度成長を支える産業基盤の構築につながったものの、それぞれの地域に元々存在していた産業との連関を無視していたため、個々の地域に対する経済効果は小さく、経済基盤の強化には繫がらなかった。加えて、汚染物質の排出による公害問題などの社会的費用ももたらしていた。宮本(■■■■)は、このような開発形態を「外来型開発」と呼び、地域開発における失敗例として挙げるとともに、「内発的発展」に基づく地域経済の発展が重要と述べている。「地域おこし協力隊」の課題と今後の支援の展望−愛媛県の活用事例を基にして−3

元のページ  ../index.html#10

このブックを見る