学生懸賞論文集第41号
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の方向性」の必要性、②集落支援員などとの連携、③重層的な支援体制、④評価手法の再検討の■つを挙げている。①「地域づくりの方向性」の必要性とは、地域おこし協力隊の究極の目的は「地域おこし」であるが、自治体自身が「地域おこし」に対する具体的なイメージを持てないままに、協力隊の活動に過度な期待を寄せているケースが多い。この「地域おこし」に対する認識のズレが、協力隊員と自治体のミスマッチに繫がっていることが推測される。そのため、地域側が「地域おこし」に対する具体的なイメージを明確にした上で、それに共感した人材の募集を行うことが必要ということである。②集落支援員などとの連携とは、地域づくりの方向性が定まっていない中でそれを進めるために協力隊を導入するのではなく、地域の実情に詳しい集落支援員などを事前に配置し、地域づくりの方向性について十分に検討した上で、その方向性に合った人材を募集するというものである。現状、協力隊が地域づくりの主な手法として注目されているが、集落支援員などとの連携によって地域づくりをより効果的に行えるとされている。③重層的な支援体制とは、協力隊とは行政でも一住民でもない特殊な立場である。さらに移住者でもあるため、地域づくりを進めていくためには様々なサポートが必要不可欠である。現状、このサポートは主に市町村の姿勢に依存している傾向が強いが、市町村担当職員の中にも温度差があることから、協力隊自身が悩みを抱える一因になっている。協力隊が十分に能力を発揮して活き活きと活動していくためには、市町村を超えたレベルでの重層的な支援体制が求められるというものである。④評価手法の再検討とは、協力隊の活動には地域住民との信頼関係の構築や協働が必要不可欠であるが、昨今の行政施策と共にその成果を問われるケースが多い。信頼関係の構築や協働が必要な以上、すぐに成果が出るとは限らないため、評価にあたって目に見える成果以外の日頃の小さな取り組みや、地域の変化を見ていくことが求められるというものである。特に最近では、協力隊による起業や定住状況が重視される傾向にあるが、必ずしも起業が地域との関係の中で成立しているとも限らず、また定住状況についても、県外へ転出後も継続的に地域サポートを続けているケースがあるため、協力隊の成果を評価する「地域おこし協力隊」の課題と今後の支援の展望−愛媛県の活用事例を基にして−7

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