る前の段階では、隊員本人の詳細な活動計画が存在しないため、仮編成として予算計上を行う必要がある。その場合、隊員が着任した後に本人の活動計画に合わせて活動経費を振り分ける必要があるが、既に予算案を議会に提出しているため活動経費の振り分けを行うには、当該年度中の補正予算の編成とその議決を待たなければならない。それにより、活動経費を利用しようにもタイムラグが生じてしまうため、活動経費の利用を諦めてしまう隊員も少なくない。一方の個人事業主型では、予め活動経費の上限■■■万円を委託費の支出として予算に計上することになる。そのため、会計年度任用職員とは違って活動計画に合わせた予算計上の必要がない。実際の活動経費の利用にあたっても、隊員はあらかじめ立替払いで購入しておき、月ごとに活動報告と合わせて経費申請を行うことで、後から活動経費が振り込まれる。そのため、活動の進■に応じた流動的な利用ができる。このように、現状の予算制度は複雑な構造であるが、着任前に自治体が隊員に対してこれらの説明を十分に行えていないという問題もある。それゆえ、予算関連で自治体−協力隊間においてミスマッチが生じることもしばしばあるため、予算の「透明性」の確保や事前説明の充実は、重要な政策課題と言える。上記で確認してきたように、個人事業主型での雇用を普及することで、現在生じている活動経費の利用における課題を解決できると言える。実際に、江成・白石(■■■■)においても個人事業主型への移行は有意義であると述べられている。しかし、図■から分かるように愛媛県における隊員の任用形態は会計年度任用職員が一般的であり、個人事業主型はあまり普及していないことが読み取れる。次に多いのが「任期後の準備ができない」であり、任期後に対する支援不足は協力隊制度における大きな課題の■つだと言える。そして、その次に多いのが「職場内の人間関係」である。このことから、現時点でも藤井(■■■■)で述べられているように、地域住民−協力隊間よりも、自治体−協力隊間でミスマッチが生じていることが分かる。また、この要因の■つとして自治体側が隊員に対する支援や関係づくりよりも、目に見える成果を出すことを優先しているといったケースが挙げられる。これは、田口(■■■■)において提言されている「評価手法の再検討」に関わる事例であり、図■においてはこのような意見学生懸賞論文集第■■号20
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