学生懸賞論文集第41号
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といった先進的な取り組みが行われている。一方で、他の自治体においても隊員レベルではこのような意見が挙がっているものの、自治体レベルでは議論の対象になっていない。個人事業主型には、上記で述べたような「予算の流動性の高さ」以外にも、補正予算を組む必要がないため自治体職員の業務の負担軽減につながるといったメリットも存在している。そのため、このような任用形態の移行は他の自治体でも実施する価値は大いにある。実際に、他の自治体においても任用形態の移行を実践する場合には、「えひめ暮らしネットワーク」と連携し、西予市や内子町といった任用形態の移行の取り組み事例を共有するとともに、個人事業主型のメリットについても説明することで、任用形態の移行に繫げることができると言える。しかしながら、個人事業主型にもデメリットが存在していることに注意する必要がある。その例として、自治体職員とのコミュニケーション不足に陥りやすいということが挙げられる。会計年度任用職員の場合は、自治体と雇用関係にあるため公務員の扱いとなり、役場に自席もあることから自治体職員とのコミュニケーションは比較的容易である。しかし、個人事業主型の場合は自治体との雇用関係はなく、役場に自席も存在しない。そのため、自治体職員とのコミュニケーションが取りづらく、必要な支援を受けにくくなる。以上のことを踏まえて、隊員が活動しやすい環境に整備するためには、前項Ⅰで述べた「重層的な支援体制」を構築し、隊員に対して「活動・任期後における支援」の充実を図ることに加えて、①「えひめ暮らしネットワーク」と連携し、各自治体において会計年度任用職員だけでなく、個人事業主型としての任用の拡大を行う。②同時に、予算制度の仕組みやメリット・デメリットを含めた、それぞれの詳細な説明を行う。この■つの実践についても求められる。本研究では、地方の内発的発展において「よそ者」の存在が不可欠とした上で、その一例として「地域おこし協力隊」を取り上げてきた。しかし、「よそ者」には移住・定住を前提とした協力隊のような存在だけではなく、移住・定「地域おこし協力隊」の課題と今後の支援の展望−愛媛県の活用事例を基にして−25■.終わりに

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