C:総括先行研究から研究課題を導出し、アンケート調査を実施するなど、執筆者の意欲を感じさせる論文と評価できるが、■段階評価のアンケート回答の比較など、分析方法にもの足りない印象がある。アンケートの設問設計を工夫し、実地に出向いて自治体や隊員、関係者にインタビュー調査を行えば、地方創生に貢献できる「地域おこし協力隊」の質的側面に迫るような、より深い洞察ができると考えられる。ただし、そのような事例研究を行ったとしても、不用意な一般化はできないことは言うまでもない。地方創生において、当該地域の産業連関を踏まえた「移輸出産業」を創出し、消費の拡大や雇用の創出に繫げることが重要であるとの執筆者の認識は優れたものであるため、その波及プロセスを十分に理解されたうえで「地域おこし協力隊」制度を論じれば、さらなる発展が期待できる研究である。評:■.構成力(論文として章節等の体系化)執筆要領に沿った論理的な構成で執筆されており、章立も基本に忠実である。■.文章表現力(論述の明確さ、漢字・用語の妥当性)概ね平易な文章で書かれており、論述も明確である。明らかな誤字・脱字もみられない。■.準拠性(文献・資料の引用方法)政府・自治体の刊行物・資料と学術論文を問題意識に応じてバランスよく引用している。審査員■論A:論文の形式「地域おこし協力隊」の課題と今後の支援の展望−愛媛県の活用事例を基にして−31
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