学生懸賞論文集第41号
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ルについて解説を行う。第■節では、推定結果の解釈を行い、最後に第■節でまとめと提言を行う。第■節で述べた、国からのSDGs未来都市の選定がCO■排出量削減に影響を及ぼすかどうかについて検証した研究はこれまでのところ見当たらない。しかし、表彰制度のようなインセンティブ導入によるCO■削減効果について検証した研究はある。矢島(■■■■)は、都道府県が実施している表彰を含む制度が、温室効果ガス排出量の削減取り組みを促すのかを検証している。先進諸国では温室効果ガス削減政策が導入されており、日本でも様々な政策が取られてきたが、近年、事業所の温暖化対策の取り組みを表彰する制度が増えている。彼は表彰という要素が政策的に重要な点として①事業所の自主的な判断の下でのCO■排出量の削減を促すため、経済活動を阻害しにくい点、②他の政策に容易に組み込みうる点、③政策を実施する費用が低い点の■つを挙げている。表彰を伴う制度には、事業所の取組を公募する公募型と、表彰のみを目的とせず、他の制度の中に表彰を組み込むものがある。前者は、都道府県がホームページに優秀な取り組みに関する公募を出し、申請した事業所の中から評価する。表彰の対象となった事業所は、知事などから表彰された旨が都道府県のホームページ上で紹介され、その事実はホームページ上に残る。後者は、都道府県が何らかのプログラムを設定し、それに自主的に参加した事業所の中で特に優秀な取り組みを表彰するプログラム参加型と、計画書と呼ばれる規制政策の中で対象となる事業所の取り組みを表彰するものがある。公募型は純粋な表彰制度と言えるのに対し、プログラム参加型はCO■排出量削減の取り組み全般に対する意思表示であり、計画書制度は計画の作成と報告そのものが義務である枠組みの中で表彰されることを事業者が目指すものであることが■つの表彰制度の相違点である。温室効果ガス排出量削減の促進における表彰の有効性を検証するにあたり、学生懸賞論文集第■■号■−■.表彰は温室効果ガスの排出削減努力を促すか38■.先行研究

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