学生懸賞論文集第41号
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以上のような先行研究と本研究との間にあるその政策効果の対象範囲に関する相違は重要な観点の■つであり、「SDGs未来都市」への選定が具体的にどのようなチャネルを通してその都市のどの部門に影響を与えると考えるのかについて絞り込みがなされていないため、本研究の主張の妥当性・論理一貫性には疑問が呈される。■.論証水準(専門的知識の水準や説明の深味)計量分析の中でも、単純なクロスセクションデータに基づく回帰分析ではなく、パネルデータを用いた分析を実施しており、説明力が高い手法を採用している。一方で、内生性への対処がなされていない点ではその因果関係について留意が必要である。また、上記の通り「SDGs未来都市」の対象が広範であるため、その効果は産業だけではなくその他の部門も含めた排出量を削減する可能性がある。実証分析のモデルの説明において、被説明変数のデータが産業を対象とするものであることがその理由と合わせて説明されていない点は問題である。C:総括論理的飛躍や説明が不十分な点は見受けられるが、丁寧な先行研究のサーベイに基づき仮説を導出した上で実証分析を行っている。したがって、野心的で一定の評価に値する研究であると考える。STOP温暖化!〜「SDGs未来都市認定」は地球を救えるのか〜59

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