学生懸賞論文集 第42号
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95なものと評価できます。■.論証内容(主張の妥当性や論理一貫性)丁寧な学説・判例分析に基づく検証という点は、高く評価できます。しかしながら、論文のはじめで、論じるにあたっての争点の整理もしくは注目すべき視点が明示されていないために、学説整理の中に、論者の独自の視点や批判が少なく、結論を留保したこともあって、主張内容が見えづらい論文になってしまい、十分な論証をしているとはいえません。■.論証水準(専門的知識の水準や説明の深味)学説整理における知識水準は非常に高く、その解釈の可能性についての言及の記述も、深い学説理解に基づくものと高く評価できます。C:総括本稿は、丁寧な文献収集に基づく正確な学説理解により、精緻な見解分析が行われている点で、極めて価値の高い「学説・判例の分析」が行われていると高評価できます。他方、残念ながら、問題提起の部分で、独自の視点または論証における軸となる部分をしっかり明示し切れていないこと、そして、論者の見解・結論を留保されるとしても、独自の疑問点の提起や各見解への矛盾点等の指摘などが消極的なため、問題提起から結論に至る「論証の筋道」が見えにくいところは、評価を下げてしまう点となりました。本稿の準備・執筆によって得られた知見により、さらなる良い研究成果を出されることを期待します。犯人に対する犯人蔵匿・隠避教唆罪の成否に関する一考察−学説・判例における見解及び状況等の整理を中心として−

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