学生懸賞論文集 第42号
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33金額などに加え、経済学的な観点として『時間選好率』、『現在バイアス性』、『ナイーブ性』、『危険回避度』という■つの指標を調査するためにインターネット上でアンケートを行った。■つ目の時間選好率とは、人は「すぐに」もらえる報酬ほど、その価値を大きく感じて、もらえる時間が遅くなると徐々に価値を小さく感じるようになる性質のことである。例えば、今すぐチョコレートが■個もらえる場合と、■■日後にチョコレートが■個もらえる場合、ほとんどの人が今すぐチョコレートを■個もらう方を選ぶ。つまり、■■日後にもらえるチョコレート■個は、今の価値で考えるとチョコレート■個より低いということになる。■つ目の現在バイアス性は、目の前にある事柄を過大に評価してしまう心理傾向のことであり、そのような人は未来の喜びより、目の前の喜びを優先してしまう。先ほどの例でいくと、■■日後にもらえるチョコレートが■個になった場合、合理的に考えれば、■■日後にチョコレートを■個もらった方が多く食べることができるためお得に感じる。ところが、今回の場合でも■個でいいから今すぐチョコレートを貰う方がいいと考える人が存在する。課金行動をとる人は、目先の利益を優先しており、将来の利益を逃していると考えることができるので、時間選好率と現在バイアス性は、ゲーム課金とかかわりが深い可能性があるといえる。■つ目のナイーブ性は、計画と実行が一致しておらず、非戦略的な意思決定を行う性質のことである。例えば、長期休みに課題が出た時、いつ取り組むか計画を立てるとする。この場合に、自分の立てた計画通りに実行できない人がいる。そのような人のことをナイーブな人であるという。本研究に置き換えると、ゲームを始める前は課金しないつもりだったのにゲームを始めた後に課金してしまう場合、あるいは、課金する予定でゲームを始めていたとしても、当初考えていた以上の金額を投入してしまうことが考えられるため、ナイーブ性も課金と関係が深い可能性があるといえる。最後に、■つ目の危険回避度は、将来の不確実性によっておこるリスクを回避しようとする選好の性質のことである。例えば、■■%の確率で■■万円が獲得できるクジがあり、このくじを■万円で■度だけ買うことができる時、くじを買わない人は、■■万円がもらえるかもしれないメリットより、■万円を失ってあなたも要注意?スマホゲームに課金する人ってどんな人?

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