学生懸賞論文集 第42号
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63を明らかにしようとしていることと、課金行動が睡眠習慣や食習慣に及ぼす影響についての調査も行っていることが本論文の独自性である。特に現在バイアス性の符号が先行研究(正)と逆になったことが興味深い。■.論証内容(主張の妥当性や論理一貫性)上記■に引き続き、現在バイアス性の符号が先行研究と逆になった(モデル■)ことを確かめるために、年齢層を■つに分け推定を行っていることも評価したい。ただし、その結果、モデル■から■までのうち、有意になったのはモデル■(■■〜■■歳)だけであり、しかも符号が先行研究と同じ(正)になっている。この点に関して、筆者は「若年層は現在バイアス性が強いほど課金行動をとりやすいという点は先行研究と共通しており、先行研究からある程度時間が経過した現在でも変わっていない」と評価しているが、この分析結果の頑健性の有無は今後の課題となろう。現在バイアス性の符号が先行研究と逆になったことはどう理解すればよいのか、説明がほしかった。■.論証水準(専門的知識の水準や説明の深味)上記■.論証内容に同じ。C:総括本論文はスマホゲームに課金する人がどのような人かを検討した論文である。学生が関心を持ちそうなテーマである。個人的には自分の関心のあるテーマについて研究することが重要であると考えるが、いくら関心のあるテーマだからといって簡単に分析・検討ができるわけではない。関心のあることを論文の形に昇華させた筆者たちの努力は素晴らしい。本論文を読んで考えさせられたのは、課金額の多い人はどのような人か、という点である。図■で示されているように課金額のほとんどが■,■■■円未満であり、理性的に課金している人がほとんどであるとも考えられる。依存症についてさらに研究を深めるのであれば、自らが自由に使えるお金がいくらあって、いくら課金しているのか分析することが必要になるだろう。あなたも要注意?スマホゲームに課金する人ってどんな人?

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