74■■大谷・前田(■■■■)■■■頁。■■また、このような大谷博士の批判に対して、前田教授は、「オウムだって犯人隠避的な行為をする人がいなければ、逃げている人たちがこれだけつかまらないということはないのではないか。」として、オウム真理教信者による幹部の犯人蔵匿・隠避行為を例に挙げ、犯人による自己蔵匿・隠避行為と他人を介して行う蔵匿・隠避行為には「かなり大きな法益侵害性がある」と反論された(大谷・前田(■■■■)■■■−■■■頁)。■■また、大谷博士は「一歩譲って、仮に法益侵害性が大きいとしても、問題は法益侵害性が大きいか小さいかではなくて、期待可能性という点では共通するのではないか。つまり、自分が逃げ隠れする場合でも可罰的違法性は認められるけれども、逃げたいという一心は人間として考慮してやってもいいのではないか。」として、犯人に対する犯人蔵匿・隠避教唆罪の成否は期待可能性の存否から解決されるべきであると主張された。■■松宮(■■■■a)■■■頁。もっとも、本批判については、「犯人が他人を介して行う犯人蔵匿・隠避罪の間接正犯が可能であるか否か」という点についても併せて検討する必要があるように思われる。この点について、井田教授は「間接正犯の形態における実行はおよそ不可能であ」るとされている(井田(■■■■)■■■頁)。きい」と評価された■■。また、前田教授は、「犯人が一人で逃げ隠れするという場合に比べて、第三者が出てきて身代わり犯人になったり、お金を渡して高跳びを助けるような事案を想定すれば、司法制度を妨害する程度は、類型的にかなり大きくなると考えられるのではないか。その意味でも私は、犯人自身は無罪だけれども、教唆して他人を巻き込めば有罪でいいのではないか、という肯定説を採用している」と説明された。前田教授によれば、犯人が他人を教唆して自己を蔵匿・隠避させる行為は、犯人蔵匿・隠避罪の法益を侵害する程度が極めて高いため、このような法益を保護するために、犯人に対して犯人蔵匿・隠避教唆罪が成立すると考えられる。大谷博士は、このような前田教授の見解に対して一定の理解を示しながらも、「第三者が関与したから類型的に違法性が大きくなるという点がよくわからない」、「犯人自身だって捜査を混乱させる」として、犯人による自己蔵匿・隠避行為が不可罰となっていることとの整合性がとれていないとの批判を展開された■■。大谷博士によれば、犯人蔵匿・隠避罪の法益が侵害されるという点では、犯人による自己蔵匿・隠避行為も犯人が他人を教唆して自己を蔵匿・隠避させる行為も同様であるため、後者にのみ可罰性を認めるのは失当であるという帰結となる■■。また、本見解については、松宮教授からも「他人を利用する間接正犯であれば、形式上は単独犯でも司法作用侵害の危険は大きくなることが見過ごされている」とする批判がある■■。もっとも、構成要件該当行為が法益侵害行為の類学生懸賞論文集第■■号
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