学生懸賞論文集 第42号
84/108

77■■団藤(■■■■a)■■■頁。なお、このような団藤博士の主張については、鈴木(享)教授から次のよう■■藤木(■■■■)■■頁。また、佐久間教授も、「犯人隠避罪では、片面的な隠避行為もありうるため、常に必要的共犯となるわけでな」いとされているため、藤木博士と同様に犯人蔵匿罪については必要的共犯関係が生じていると理解することができる(佐久間(■■■■)■■■頁)。■■中森(■■■■)■■■頁。も出てくるように思われる。な批判がある。まず、団藤博士は、「猥褻文書販売罪(一七五条)においては、買主が当然に予想されているにかかわらず、買主を罰する規定は置かれていない。したがって、買主が進んで『売ってくれ』といったばあいでも、それが普通の売買契約にみられる単純な買主としての定型的な申し込みにすぎないかぎり、販売罪の教唆犯・幇助犯にはならないというべきである。」として、わいせつ物頒布等罪(刑法■■■条)において、わいせつ物を購入した者の可罰性を否定しながらも、前述のとおり、犯人蔵匿・隠避罪における犯人については、これに関与した犯人は教唆犯が成立するとの見解を示されていた(団藤(■■■■a)■■■−■■■頁)。このような団藤博士の見解に対して、鈴木(享)教授は、「猥褻文書販売罪における購入者の存在、『売つてくれ』という行為と、蔵匿隠避罪における犯人の存在、『かくまつてくれ、逃がしてくれ』という行為とどれだけ違うであろうか。」として両者の差異に疑問を提示し、「前者は、定型的関輿形式として予想される購買行為を不問にしたものであるから、これを包括的に不可罰的なものとするのが法の趣旨だという解釈が成り立つとすれば、蔵匿隠避罪における依頼行為もまた、定型的関輿形式として法は不問に付したと考えねばならぬであろう。」として、上記の団藤博士の見解を批判された(鈴木(■■■■)■■■−■■■頁)。第■款刑法■■■条の類推適用刑法■■■条は、犯人蔵匿・隠避罪又は証拠隠滅罪(刑法■■■条)について、「犯人又は逃走した者の親族がこれらの者の利益のために犯したときは、その刑を免除することができる。」旨を定めているが、学説においては「犯人に同条を類推適用すべきである」という意見がみられる。例えば、中森教授は、肯定説の立場から、犯人が他人を用いて自己を蔵匿・隠避させた場合には犯人に対し犯人蔵匿・隠避教唆罪が成立するとしながらも、犯人が教唆した対象が犯人の親族であった場合には、犯人に対して刑法■■■条を類推適用することも可能であると主張された。中森教授は、犯人が親族を教唆して自己を蔵匿・隠避させた場合、「教唆者たる犯人の心理的状況は正犯者たる親族のもの以上ではないから、任意的免除の類推適用は許されると思われる。」とされたのである■■。また、松宮教授も、上記の中森教授の立場を説明した上で、否定説の立場から、「親族さえ留保されている刑の免除の可能性すら犯人自身から奪う結果になるのは疑問である。」としているため、中森教授と同様に本見解を採られていると考えられる■■。犯人に対する犯人蔵匿・隠避教唆罪の成否に関する一考察−学説・判例における見解及び状況等の整理を中心として−

元のページ  ../index.html#84

このブックを見る