80■■また、団藤博士のように、期待可能性の存在を肯定説の主たる根拠としながらも(団藤(■■■■b)■■頁)、否定説における必要的共犯の理論を否定する形で、肯定説の妥当性を担保しようとするものもみられる(団藤(■■■■a)■■■頁)。■■期待可能性の存否のみによる判断への批判等については、次節(第■節)第■款を参照。■■山口(■■■■)■■■頁、松原(■■■■)■■■−■■■頁、井田(■■■■)■■■−■■■頁、高橋(■■■■b)■■■−■■■頁、が主張されていたのである■■。そして、■■■■年代から現在においては、上記の期待可能性の存否をより理論的に判断するため■■、期待可能性の存否に共犯の処罰根拠論を取り入れ、犯人に対する犯人蔵匿・隠避教唆罪の成否を論ずるものが多く存在している■■。したがって、現在においては、期待可能性の存否という「責任論」ではなく、共犯の処罰根拠論をはじめとする「共犯論」が、本問題における議論の中心にあると考えられる。本章は、犯人に対する犯人蔵匿・隠避教唆罪の成否に関する最高裁判例やこれに反する反対意見、下級審判例の動向等を整理していくことを目的とする。そのため、第■節において最高裁判例の動向や立場等、第■節において成立を否定する最高裁判所裁判官の反対意見や下級審判例について、それぞれ整理をしていくこととする。本節では、犯人に対する犯人蔵匿・隠避教唆罪の成否に関する最高裁判例(大審院判例を含む。)の状況や見解を紹介し、その動向を整理する。なお、整理と並行して最高裁判例等の見解について不明確であると思われる部分は、若干の考察を加えていくこととしたい。山中(■■■■)■■■頁、大塚(■■■■)■■■頁。学生懸賞論文集第■■号第■節最高裁判例の動向第■款昭和■年判決と防御の自由・濫用判例として、犯人に対する犯人蔵匿・隠避教唆罪の成否についてはじめて言及したのは、昭和■年判決である■■。本判決は、「他人ヲ教唆シテ自己ヲ隱避セシメ刑法第百三條ノ犯罪ヲ實行セシムルニ至リテハ防禦ノ濫用ニ屬シ法律ノ第■章判例の整理
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