学生懸賞論文集 第42号
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84■■谷口意見及び大阪地判平■・■■・■■LEX/DB■■■■■■■■(以下、「平成■年大阪地裁判決」という。)、■■本見解を判例が採用していると考える理由として、谷口意見は昭和■■年判決を引用する。■■谷口意見は、肯定説の見解について、「もっとも、これらの判例を支持して責任論の立場から犯人が自ら隠避する場合と他人に犯人隠避の罪を犯させてまで隠避の目的を遂げる場合とでは情状が違い、前者の場合には定型的に期待可能性が欠缺するが、後者の場合にはもはや定型的に期待可能性がないとはいえないとする説がある。そして、さらに行為の違法性を考え、『教唆犯には、他人の行為を利用して犯罪を実現するという反社会性のほかに、教唆によって新たな犯罪人をつくり出すという反社会性がある。それで、自分自身で行えば、犯罪にならない行為でも、他人を教唆してそれを実行させた場合には、その教唆犯として処罰すべきである』という観点から、犯人が他人を教唆して自己を隠避させた場合犯人隠避教唆罪の成立を肯定する見解もある。」と表現している。また、これらの見解については、前章(第■章)第■節第■款を参照。しているものがみられる■■。本節では、これらの見解を確認した上で、それぞれに若干の考察を加えていくこととする。立を否定する見解をはじめて示した反対意見である。まず、谷口意見は、「被教唆者について犯人隠避罪が成立する以上、その実行を教唆した者について犯人隠避教唆罪の成立することは当然である」とする意見と■■、「犯人の防御権の濫用」の■点によって、判例が犯人に対する犯人蔵匿・隠避教唆罪の成立を肯定していると分析した。また、本意見は、これらの見解について「必ずしも説明の尽されていないものがあると考える。」と指摘した上で、「つきつめて考えれば、被教唆者について犯人隠避罪が成立する以上、その罪を教唆した犯人に対して同罪の教唆犯が成立するのは当然ではないか、ということに尽きるのではなかろうか。」として、判例の見解の内実を考察した。さらに、谷口意見は、学説において判例と同じく犯人に対する犯人蔵匿・隠避教唆罪の成立を肯定する肯定説には、「定型的な期待可能性の否定」と「責任共犯説」の■点があるとした■■。本意見は、これらの見解について「いずれも傾聴すべき見解ではあるが、責任論の立場で事を論ずるとすれば、しょせん見解の相違ということになろうし、教唆犯が新たな犯罪人をつくり出すといういわば正犯に加算された反社会性ということを問題にするとすれば、教唆犯がそのように二重に評価される所以を理解し難いばかりでなく、教唆犯を正犯に準ずる(刑法六一条)とした刑法の趣意といかに調和するかについても問山口意見。第■款谷口意見谷口意見は、最高裁判例において、犯人に対する犯人蔵匿・隠避教唆罪の成学生懸賞論文集第■■号

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