Creation-158号
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松大な人 私が目指しているのは「自分が受けたい」と思える授業。参加型で、一方通行ではなく、リアルタイムで学生からのフィードバックを求める授業です。と言うと非常に難しいイメージを抱く方もいるでしょうが、実際には非常に簡単なことなのです。たとえば板書の文字が見えない時「見えません」というだけでも構わない。発言者だけではなく、私やほかの学生にも利益になりますからね。もちろん、そうした意見を言いやすい雰囲気づくりというのは必要です。そこで私は授業中に発言した学生には、得点を与えています。発言により、問題点や疑問が解消するし、評価も受けられるということで、一人の発言がきっかけとなり、授業が活性化していきます。ただし、授業と関係のない雑談にならないよう、最初の1ヶ月くらいはいろいろと気配りをしています。発言をした学生をサポートし「発言するのは良いことだ」という空気をつくるよう、私自身も努力しています。 なぜ、私が参加型の授業を目指すのか。その理由は私の学生時代の反省に基づいています。実は私は非常に引っ込み思案で、失敗を恐れる井の中の蛙タイプでした。授業中に発言などもってのほか。「何か言って、恥をかくのが嫌だ」という根拠のないプライドがあったんです。でも大学院に進み、周りは自分よりも優れた人ばかりで、私の至らなさ、小ささを痛感しました。それで自分を変えたいと思い、失敗してもいいからあえて自分を出していくように努力をしました。お蔭で殻にこもっていてはできなかった、素晴らしい経験を積むことができたと自負しています。 参加型授業を進めるようになって、もう6、7年になりますが、ようやく学生から「松本の授業は積極的な方が得する」という認識を持ってもらえるようになりました。それでも、絶対に発言しない学生がいますが、私は彼らの気持ちが非常に理解できます。なぜならば私自身がそうでしたから。でもだからこそ「失敗を恐れず、どんどん参加しろ」と伝えたいですね。つまずき、試行錯誤しながら現状に至っている私だからあえて学生諸君に言いたい。「恥をかきなさい、失敗しなさい」と。"Accept that mistakes are all part of the process."略 歴石川県金沢市生まれ1991年/神戸大学経済学研究科博士課程退学1991年/松山大学経済学部専任講師1994年/アメリカWesleyanUniversity客員教授1998年/神戸大学客員教授2000年/松山大学経済学部教授2006年/カナダSimon FraserUniversity客員教授専 門理論経済学授業担当経済学コーポレート・ガバナンス労働経済学経済学部松本 直樹 教授質問をする事が最も大切な要素と位置付けて、授業が進行していく。後ろに座らず、活発におこなわれる意見交換が魅力だ。

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