Creation-159号
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松大な人 高校時代、放課後などの時間を利用して熱心に指導してくださる地理の先生と出会い、その影響を受けて「将来は高校で地理を教えたい」と考えていました。ところが地理の方では受験に失敗し、法学部に進学しました。はじめは渋々授業に出るという感じでしたが、講義を受けるうちに今度は法律の面白さに目覚めました。きっかけとなった授業は、今、私が専門としている家族法。家族関係の中に法律が存在しているという事実に、単純に興味を持ったんです。人と人との関係性の中で、上手く関係が結べている時には法律は表に出て来ません。しかし、何か歯車が狂った時には、法律を介在させて解決の方向に持っていく。普段は意識していなくても、人間関係、家族関係の背後に法律があるんだと思うと、非常に法律が身近なものに感じられたんです。それでせっかくだったら法律をしっかりと学び、もともとの夢である教員の道も実現したいと考えたわけです。大学院では伊藤昌司教授に師事し、公私ともに大変お世話になりました。伊藤教授との出会いも、今の私に大きな影響を与えてくれたと思っています。 夫婦間で財産をめぐるトラブルが起こるのは別居時や離婚時であるせいか、婚姻中の財産関係については研究が不十分なのではないか、とくに、日本の民法で採用されている別産制についてもっと研究を深めるべきではないかという問題意識をもって、フランスなど外国の法律を参考にしながら研究を進めています。ただ、家族法は学生にとって身近な分野ではあるのですが、学問的に見ると難しい分野ですので、授業は「法律の知識を教える」のではなく「法律に照らし合わせながら理論を組み立てていく手法を伝える」ことに主眼を置いています。将来、どんな職業に就いても、「ルール(法律)と事実を照らし合わせてトラブルを解決していく」という視点で物事を捉えられるというのは強みになるはずですから。 授業以外では、顧問をしているラクロス部の応援にも力を入れています。いつも遅くまで練習をしながら、きちんと授業に出て、勉強にも手を抜かない部員たちの頑張りに非常に刺激を受けています。法律に関する知識を増やすのではなく法律に照らし合わせながら理論を組み立てていくその手法をみんなに教えていきたい。略 歴三重県名張市生まれ2003年 同志社大学大学院 法学研究科修士課程修了 (法学修士)2006年 同志社大学大学院 法学研究科博士課程中退専 門夫婦の財産関係に関する法解釈論授業担当民法Ⅳ民法Ⅲ民法論点講義法学部水野貴浩 講師顧問を務めるラクロス部の部員と。水野先生自身はラクロスの経験はなく、応援専門だとか。

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