Creation-160号
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今求められるのは「実用」を行える大学 2008年11月28日、日本経済新聞において「大学選択における新たな指針」という特集記事が組まれました。これは中四国のビジネスパーソン1万人に対して「産業界、社会・経済に貢献する大学とは」というアンケートを実施し、社会が望む大学像や学生像を探っていこうという企画です。その結果、上位には「時代のニーズに則した学部・学科がある(第1位)」「実践的な授業を積極的に行っている(第2位)」「企業との共同研究が盛ん(第3位)」といったイメージがランクインしていました。これを見ました時に、まさに松山大学の校訓・三実主義、中でも「実用」に合致しているのではないかと感じた次第です。それを端的に現しているのが、松山大学の就職率の高さ。本学は「就職に強い大学」という評価を得ていますが、これも実学指向が評価された結果だと思っております。 一方で、同時に「時代のニーズに則した学部・学科がある大学は?」という調査がなされていたのですが、残念ながら松山大学はベスト10にランクインしていないんですね。調査においては医学部と薬学部を除外していること、上位校は理工系の学部を擁していることを鑑みれば、この結果は止む終えないのかもしれません。やはり文系は時代のニーズに則しているというイメージが希薄なのでしょう。しかし、本学が創立以来、「三実主義」の旗印のもと、実学に重きを置いてきたことが、世間的にはあまり認知されていないことが残念に思えます。実際に実学が行われているのか、行われているのであればそれが適切にPRできているのか。改めて客観的に検証を行い、対策に注力していかなければと気を引き締めました。実学指向を打ち出して個性的な松山大学を創造 「三実主義」は、私たち現役の教職員や学生、だけでなく、松山大学に関わる全ての人によって実践されなくてはいけないと考えています。そんな中「教える」という立場にある者の課題としては、今以上に実際に社会に出て役立つ学問を教えていくことではないでしょうか。私自身、反省すべき点は多いにあるのですが、学問の体形に沿った教育をベースにしながら、検定試験や国家試験に対して実効的な教育を取り入れていく必要があると考えています。実学指向をもっと打ち出して、時代のニーズに則していかなくてはいけない。これが我々の課題といえるでしょう。校訓・三実主義に基づいて教育研究に特色を出せば、松山大学はもっと評価される大学になれるし、個性的な大学づくりができるはずです。実学指向を表面に打ち出して、社会から「確かに松山大学は圧倒的に実学指向でやっている」ということが分かるカリキュラムを打ち出してやって頂きたいと思います。 2008年10月に「MSPO(松山大学・ソーシャル・パートナーシップ・オフィス)」を新設し、産官学連携をいっそう進めていくための体制が整いました。また、2007年に首都圏での就職支援や情報収集等のために設置した「松山大学東京オフィス」は、現時点で首都圏での就職率の向上を果たすなど、確かな手応えを感じています。三実主義を実践していくためのインフラの準備は既にできていますから、今後、より有効に機能させていくのが当面の課題といえるでしょう。そしてこうした取り組みを学生や地域の方に知って頂き、三実主義を実践する松山大学の魅力を広く地域の皆様に知らせていくことも私たちの勤めだと認識しています。誇るべきこと、変わるべきこと第14代学長森本 三義昭和50年3月松山商科大学経営学部卒業。昭和56年3月大阪大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。平成2年10月松山大学経営学部教授に、平成19年1月現職に就任。時代のニーズに則した松山大学を創造するために。「三実主義」に基づいた特色のある教育研究を実践。

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