Creation-160号
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のある学生を社会に送り出すことで、産業界の要請に応えようという考え方です。特に今は国際化が進み、労働力の流動化も激しい時代です。日本の大学を出た人が海外の企業で働くことも珍しくありません。そうした中で、日本の大学を出た人が能力的に劣るということでは困る訳です。国際的に通用する学力を持っていないといけない。そのためにも学士力の保証が必要です。 これまでは「人材を会社が育てる」というところがありましたが、今は産業界も経済的な余裕がありません。そうした中、少しでも良い人材を確保しようと考えています。社会が求める人材をこのキャンパスの中で養成して行く。そういった使命を我々は背負っている。しかし、いくら教員や大学側が旗を振っても、学生自身に学ぶ意欲がなくては理想とする教育は行えないんです。大学は時代にあったカリキュラムを編成して、学習成果を導き出そうとしているんですが、教育を受ける学生がもっと社会に関心を持ち、もっと経済や外国の文化に強い関心を持って学ぶ意欲を身につけて欲しいと思います。さらに求められる社会人としての基礎能力 ところで、大学は職業人の養成だけを目的としているのではありませんが、今、産業界で問題になっているのが「社会人基礎力」です。社会人基礎力とは職場や地域社会の中で多様な人々とともに仕事を行っていく上で必要な基礎的な能力のことです。 一つは前に踏み出す力「アクション」。これは一歩前に踏み出して、失敗しても粘り強く取り組む力でもあります。二つ目は考え抜く力「シンキング」。疑問を発見し、それを考え抜く力です。もう一つはチームで働く力「チームワーク」。多様な人たちと目標に向けて協力する力、皆と一緒に協力しながら一つの仕事を解決して行く力です。こういった「アクション」「シンキング」「チームワーク」といった社会人基礎力が今の若者に欠けているということで、それを四年間の学士課程教育の中でいかに身につけさせるかといった事が我々大学人に与えられた課題だと理解しています。これらは大学の講義やゼミの中で身に付けることもできるでしょうが、課外活動で培われる部分もかなりあると思うんです。そういった意味では、大学教育と部活動の両方で「社会人基礎力」を育てていくのがもっとも良い方法であると考えています。地域に愛される大学として新たな歴史を刻んでいく 先に述べましたように、松山大学は素晴らしい人材を輩出していますが、そのことを知らない学生が非常に多いことも事実です。自校史教育の講義では、そうした先輩方の話もしていますが、地域社会に優れた人材を送り出して来たからこそ、松山大学は地域とともに歩むことができたんです。これからの大学は地域社会との共生をはかっていかなければなりません。大学には図書館があり、多くの教室があります。グラウンドもホールもあります。そして百数十名の先生方が、それぞれに専門の研究をされています。社会に協力できる可能性が無限に広がっています。そうしたソフト・ハードの資源を積極的に提供することで、松山大学が地域社会で愛され、新しい歴史を刻んでいくことができればいいですね。誇るべきこと、変わるべきこと

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