Creation-160号
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産官学連携型講義など地域との交流を密に 三実主義の実用の実践という点では、松山大学が「地域に根ざした大学」となることが、非常に肝要だと考えています。これまでに、様々な形で地域と関わる事業や活動を展開してきました。たとえば毎年、松山市と連携して実施している市民向けの公開講座もその一つです。また、新居浜市と共に10年以上続けている「松山大学公開講座」では、学習意欲が旺盛な方が大変に多いことに驚きと喜びを感じています。特に仕事をリタイアされた方が、熱心に参加されているのが目立ちますね。さらには、2008年度に松山商工会議所の協力を得て開講した市民講座「ふるさとふれあい塾-松山観光文化コンシェルジェ講座-」もその代表例です。この講座を受けられた方は、松山城などの主要な観光地で、観光ボランティアとして活躍できるので、皆さんが目標に向かって活き活きと学んでいらっしゃいます。 一方で、産官学連携型の講義も取り入れており、経営学部では株式会社いよぎん地域経済研究センターのスタッフの方に講師を務めて頂く「地域産業論」を実施。この講義では、愛媛の主要産業の現状について、現地の調査活動の成果や資料などを活用し、現場の視点から論じています。これにより各産業が直面する課題や対応策について考察し、愛媛県の経済や産業の実態について理解を深めていくことを目的としています。経済学部では観光産業の国際化の視点から「観光立国」を中心とする観光政策の展開、観光産業の現状や道後・奥道後地域を中心とした観光産業の実態を紹介する産官学提携講座「国際観光論」を行っており、講義は一般市民にも公開しています。 このほか高大連携として出張模擬講義や、ソフトテニスと柔道の高校生課外活動選抜競技大会「松山大学学長杯」を開催。さらに伊予銀行、松山商工会議所、南海放送などの企業・団体と提携協力協定を結んでおり、今後、具体的な連携事業を進めていこうと考えています。競争に曝される地域にあって地方大学の果たすべき役割 今、地域社会が世界に組み込まれていく中で、地域は競争環境に強く曝されている状況にあります。そこで地域社会は生き残りをかけて目の前の2つの課題、すなわち「国際競争の激化」と「少子・高齢化社会の到来」に取り組んでいかなくてなりません。この課題は、企業行動や学生教育、私たちの実生活にしばしば歪みをもたらしています。こうした社会情勢の変化から生じる負の問題に対して、地域の産官学とNPOなどの社会機関、市民が協力して解決していく必要があります。スクラムを組む方が、一つの組織で取り組むより力が遥かに大きくなるからです。私たち地方大学は地域で活躍する人材を育成する機関であり、学術研究に裏付けされた情報を外に発信する機関であり、さらに言えば地域の文化的なニーズに応えることのできる機関であるべきです。その果たすべき役割は非常に大きいといえるでしょう。そして、そうした貢献が地域社会で評価されて、広く社会的な信用を獲得することができれば、私は松山大学が地域に根ざした大学として存続していくことが可能であると考えています。 そんな中、2008年10月には学内に「MSPO(松山大学・ソーシャル・パートナーシップ・オフィ地域連携と地域貢献を積極的に果たしていくことで「地域に根ざした大学」として存在感を際立たせていく。理事長補佐 MSPO(松山大学ソーシャル・ パートナーシップ・オフィス)室長 経済学部教授松浦 一悦氏

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