Creation-160号
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松大な人 私の父も母も(母は父に個人レッスンを受けて合格しました)薬種商で、新潟県内でもかなり古い薬店を経営しており(現在は兄が薬局として経営)、子供の頃から試薬や実験器具に囲まれた生活をしていました。その環境からなんとなく理化学に興味を持つようになったのが、現在の私のルーツになっているかもしれません。とはいえ、子どもの頃はもっぱら「実験」と称したイタズラばかりしていましたが…(笑)。 そんな中、中学一年の時に夏休みの課題の自由研究があって、休みの終わりぎりぎりまで手をつけられなかったのですが、ふと思いついて実家で扱っていた石膏と紙コップを使って実験しました。石膏を水で溶いて紙コップに入れて一日乾燥して石膏細工を作り、出来上がった石膏細工が濃度によって粗になるのか、密になるのかというのを調べたんですね。一番頭を悩ませたのは、検証する方法。私は濃度を変えて何種類も作った石膏細工に、スポイトで一定量のインクをたらし、その広がりによって石膏細工が粗か密かを調べました。そうしたら、この自由研究が県で一等賞になりましてね。先生からは「あの検証方法が良かった」と随分と褒めて頂きました。私は現在、製剤学をやってますが、これは薬が治療に使われる際に、患者さんにとってより安全で有効、且つ、使い易い薬に仕上げる「製剤設計」について研究する分野です。思えば、この自由研究につながっているんですよ。自分で考えて取り組んだ研究が思わぬ高評価を受けたことが、後の自分の道を拓いてくれたのかもしれません。 子どもの頃はかなりのわんぱくで、お喋りで、何にでも興味を持つタイプでした。史実をモチーフにした歴史小説も好きで、城などの歴史的遺構を訪ねるのも好きです。良く言えば好奇心旺盛で活動的…といったところでしょうか。かつて、オランダのライデンに留学しましたが、その時にも時間を見つけては、地元の方が驚くくらいあちこちに出かけていました。こうした志向は今も変わらず、松山に住んでまだ三年目ですが、この街にも随分と詳しくなりました。これからも公私ともに、こうした好奇心を持ち続けていきたいですね。生来の好奇心と行動力、そして実家の環境や中学時代の自由研究が現在の私をつくりあげてくれました。略 歴新潟県新発田市生まれ1976年/東京薬科大学薬学部卒業1981年/東京薬科大学大学院博士課程修了2006年/松山大学薬学部教授専 門製剤学授業担当製剤学Ⅰ製剤学実習総合薬学演習薬学部湯淺 宏 教授日本三大平山城や日本三大連立式平山城にも数えられる松山城にて。「城下町で育ったせいか、松山のような街はすごく馴染みやすい」とのこと。

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