Creation-161号
18/20

(愛媛新聞記事)平成20年12月5日経営学部 准教授山崎 泰央Yamazaki Yasuo技術や商品を消費者とつなげるソフト面にこそ文系学部の産学連携の意義があると考えています注目!! ご父母・受験生のみなさんへi-soleはスタンダード(左)と、シャーベット状態でいただくフローズン(右)の2種類。 今回、この開発が実現したのは経営コンサルタントの方から「大学生の感性を経営に活かしたい会社がある。興味があるなら紹介するがどうだろう」というお話があったことがきっかけです。そこで若い人の知恵を借りて日本酒の低迷を打破したいという亀岡酒造さんと「脱・日本酒プロジェクト」を結成しました。松山大学側のプロジェクトメンバーは経営学部の3年次生の10人(男5、女5。もちろん20歳以上)で、何か新しいことに興味があったりお酒が好きだったりする学生たちでした。 商品開発にあたって、従来の日本酒の常識を打ち砕くという共通認識をつくりました。まずは日本酒がどのようなものかを知るため、亀岡酒造さんの商品を実際に飲みくらべ、感想を出し合いました。しかし日本酒を飲み慣れない学生の印象はネガティブなものが多く、若い世代の人たちが親しみを持てる日本酒を考えることが大きな課題となりました。そこで、2回目のプロジェクトで学生たちにも飲みやすいと評判の高かった「銀の露」をベースに、ジュースやリキュールなどのさまざまな「割もの」を加え、いろいろな飲み方を考えてみました。このときできたレシピは、りんご、抹茶、牛乳、野菜ジュースなどを使った30種類を越えるユニークなものばかりでした。その中からさらに絞り込んだレシピを亀岡酒造さんに提案し、商品候補について議論を重ねた結果、明浜のブランドミカン果汁「ムテンカ」を使った2種類のお酒の商品化が決定しました。 次なる課題はパッケージデザインとネーミングです。「脱・日本酒」というからには今までのイメージから脱却し、新しいお酒にふさわしいデザインが必要でした。しかし、その分野では松山大学の学生に専門知識はなく「やはり同じ若い人の感性を借りよう」と、松山デザイン専門学校に協力をお願いしました。何種類ものデザインとネーミングの中から協議を重ねた結果、太陽とミカンをイメージしたパッケージデザインの「i-sole」(アイソーレ)が誕生しました。 販売も好調で、当初年間6,000本の出荷予定が、昨年の12月に販売されてから1月までにすでに6,000本が出荷され、生産が追いつかないという状況です。 学生たちにとって、商品の開発に最初から関わり、自分たちがやってきたことが形になったということは大きな自信になったと思います。今まで学生は店頭に行って商品を買っていた消費者でしたが、商品の背景にはたくさんの人がいたということを初めて知ることができたのです。また開発には様々な困難があり、それを解決していくためにはどうしたらいいのか、と考えたことは社会に出てからも非常に役立つ貴重な経験だったと思います。この成功は亀岡酒造さんをはじめ様々な方々の協力があればこそでもあり、深く感謝しています。

元のページ  ../index.html#18

このブックを見る