Creation-162号
11/24

小袖庵 いと善四代目店主 三木 一哉さん(1989年3月 経営学部 経営学科卒)Miki Ichiya「家業を継ぐ」ことがいきなり現実に 紺の着物を粋に着こなして取材にお応えいただいた三木一哉さん。大学卒業と同時に東京の呉服屋で3年間の修行後、家業の呉服店「いと善」に戻り、四代目の店主として現在に至っている。「いつかは跡を継ぐ、ということは漠然と頭にありました。松山大学を選んだのも将来のために、という理由が大きかったですね」。地元の高校から指定校推薦で入学、熱心に勉強に取り組むかたわら陸上部でも長距離で活躍するなど、充実した学生生活を送っていた。卒業を目前に家の事情で急遽跡を継ぐことになり、東京の呉服店に3年間の修行に出る。「最初は仕事が全く好きになれず、嫌で嫌でたまりませんでした」。そう振り返って語る三木さんに訪れた転機は、京都の国立博物館で催された展示会だった。「江戸時代の着物を一堂に集めた催しだったんですが、展示された着物を見てすごく衝撃を受けました。技法、デザイン、歴史の流れと一体に見ることができ、とても面白くなったんです」。今では着物の販売だけでなく、着付け教室やさまざまなイベントを主催するなど地域の方々に着物の魅力を伝える活動を行っている。【松大な人1】OB・OG INTERVIEW陸上部での経験が人生のベースになっている 学生時代の一番の思い出である陸上部での経験が今の仕事に生きているという三木さん。「人生はよくマラソンに例えられますが、どんなに調子が悪くても走り続けなきゃいけない。苦しくても休まずに毎日練習しなくちゃいけない。陸上部でそういう経験をしてきたから仕事がどんなにしんどくても止めずに続けられました」。そして、授業で勉強したことは今でも物を考えるベースになっているという。自分でセレクトして仕入れた品物をお客様にコーディネートして気に入っていただけた時、お客様に「買ってよかった」「人に褒められた」そう言ってもらった時が嬉しい、と今では呉服屋という仕事を心から楽しんでいる。「着物は長い歴史と美術を一体として考えることができるのが最大の魅力だと思います。まずは着物にふれて親しんでもらうのがスタート。今後は着物の好きな方、必要な方に喜んでもらいながら仕事をしていきたいし、いろんな取り組みを続けていきたいと思っています。そういう人たちが楽しく集える店づくりをしていきたいですね。自由に着物をアレンジしてもっとみんなに着物を楽しんで欲しいと思います」。後輩へのアドバイスしんどい時でも自分を高めようとすることが大切だと常に思っています。どんな逆境の時でも「今できること」をやっていこう、これは私がずっと思い続けていることです。そして、自分のコンプレックスはそれはそれとして受け止め、苦手なところは埋めていこうとする努力を続けていけばいいと思います。着物に対する見方が変わったときに仕事の魅力に気がついた地域の人たちに着物の素晴らしさを伝える活動を続けていきたい12341.4年次には中四国学生駅伝で、区間賞を獲得2.卒業式には総代として壇上へ。ひとつの大きな達成感を得る3.入社してすぐの社員研修にて、着装の研修を受ける4.新年会にて。懇意にしていただいている皆さまと一緒に

元のページ  ../index.html#11

このブックを見る