Creation-162号
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キャリアセンター長淺野 剛 昨年から会社訪問を通じて企業の採用状況を伺ってきましたが、やはり非常に厳しい状況です。昨年の秋の経済不況から特に大手企業は「採用人数は厳選して一回で勝負をつけたい」ということのようです。売り手市場の時には追加募集もありましたが、今はそれが少なくなっているようです。県内企業もほとんど採用人数を削減、あるいは採用は未定という状況です。 先だってのニュースでも、東京ではインターンシップ研修をする学生が格段に増えたと報道されていましたが、本学でも今年になって極端に履修する学生が増えました。今年の秋口から就職活動を始める学生については、かなり危機感が広がっているのかなと感じます。 しかし1、2年生となると、そういう意識をどの程度持っているのでしょうか。彼らはよくてアルバイト程度の経験しかなく〝時給いくら〞の世界では仕事の厳しさ、転職の厳しさに対する現実味がありません。また、今の大学生は上下の関係が稀薄になり年齢差を越えた関係がないため、情報を得る範囲が非常に狭く、実際に政治や経済に何が起こっていて、それが及ぼす影響は何なのかなどということをいろんな観点から思考する能力に欠けているように思います。一部の学生たちは自主的に情報を集め、行動できていますがその割合はわずかです。 学生には「1、2年次生からキャリアセンターに訪れて情報収集をしてください」と言っていますが、それと同時にぜひ人脈づくりをして欲しいと思います。様々な形で社会人と出会い、自分とは違った観点からの意見を吸収する中で、自分の資質・能力の伸ばし方、適性を探すことができるからです。第三者から見られた時の自分の評価と、自分が考える自己評価はどうなのか、そこにギャップがあるならそれは何か、自分が思うことを相手に伝えられていない理由は自分のパフォーマンスが悪いのかコミュニケーション能力不足なのか、そういったことを考えて欲しいのです。 ある企業の人事の方から「今の学生は本音で話さない。そんな人を採用プロセスで次の段階に進められない」と指摘されます。評価して欲しいことを表現できる力やコミュニケーション能力を、自分磨きをしていく段階で身に付けていかなければならないでしょう。入学してから就職活動開始まで2年半というわずかな期間しかありません。どんな自分をつくっていくかを考えて行動することが求められ、企業もまたそういう人材を必要としています。好・不況にかかわらず、自分のレベルをそこまで引き上げて初めて就職戦線のスタートラインに立てるのです。 また「ほとんどの学生がインターネットから手に入れた情報で同じ事を言う。自分自身で調べた情報は何なのか、それが聞きたい」と言われます。自分の進みたい方向が決まったらその業界・職種の先輩を訪ねて現場の意見を聞き、その中で今の新入社員に求められていることを具体的に考えて欲しいと思います。そのような機会を提供するために「温山会」(同窓会組織)や「父母の会」のご協力のもと、OB・OGとの就職相談会の開催、大都市圏での企業セミナーへの無料バス運行などを行っています。  新卒の最大の利点は「未完成でもいいんだ」ということ。客観的な自分の立ち位置を知り、一番潜在能力を買ってくれる新卒の〝ゴールドカード〞を使い、延びシロを見せられる自分を作って欲しいと思います。(愛媛新聞記事)平成21年5月31日自分自身を磨いて付加価値を付け、それを表現できる力を身につけることが重要です注目!! ご父母・在学生のみなさんへ

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