Creation-162号
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将来、自分はどう生きるかそれが学びの第一歩です 大学教育は、時代とともに大きく様変わりしています。それは社会が必要とする人材を育むための必然的な変化と言えるでしょう。また、学生を取り巻く環境も大きな変化を遂げています。私も本学の出身者の一人ですが、私の時代と比べて、今の学生は非常に恵まれています。あまりにも恵まれ過ぎて、必要なものはすべて与えられる状態にあるといっても過言ではありません。そのため「どのような手段で自分たちが生きていくのか」を考える必要性を実感している学生が非常に少ないですね。昔は自分自身で生きていく術、つまり「どんな職業に就いて生計を立てていくか」を決め、そのために「今、何をするべきか」を考える学生が多かったのです。 対策として最も有効なのは、入学後可能な限り短期間で目標や目的を持たせること。そのためにも単に理論的な学習をするのではなく、様々な体験、実践を取り入れた教育を行っています。目的意識を持たせて「どういうふうに生きていけばいいのか」を考えさせていく、それに向かって勉強させていくという方向で大学が教育支援をしているのです。例えば、インターシップはその代表とも言えるでしょう。一度、社会経験をすることで、どんな勉強をするべきなのかを考えてもらい、やる気を起こさせるという動機づけをしているのです。また、社会で活躍している卒業生をゲストスピーカーとして招き、社会人経験を通じて感じていること、学んだことを話して頂くのもその一つ。学生の中には「単位が必要だから勉強する」という人がいるでしょうが、それでは学んだことは身についていきません。今、学んでいることが自分になぜ必要なのかを理解することが大切だと考えています。 もちろん、その理解を手助けすることも私たち教員の大切な使命であると考えています。その一貫で、本学は学生へのケアに力を入れています。というとすごく過保護なイメージがあるかもしれませんが、必ずしもそうとは言えません。例えば、現在、松山大学では悩み相談などの学生サポートのために、カウンセラーによる「カウンセリングシステム」を整えています。これは昔にはなかったことですが、コミュニケーションが得意ではない学生には、悩みをもっていく場所がないのです。それをカウンセラーの先生に話して、様々なアドバイスを受けることで解決していこうということです。ただ、こうした取り組みは大学だけのことではなく、企業にもカウンセラーをおいている時代ですから、日本の社会全体の傾向と言えるでしょう。Plan・Do・Check・Actionを習慣として身につける 重ねて言いますが、「教育」は「目的」や「目標」がないと何の意味もないものになってしまいます。目標があってこその実践的教育です。そして、実践教育の効果の一つに「体験によって理想と現実の違いを知る」ことがあります。そんな時には、軌道修正しながらやっていけばいいのです。計画を立てて、実行をして、反省をして、また次の計画に入っていくという「Plan」「Do」「Check」「Action」のサイクルを常に意識しながら行動すれば、目標を叶える手段が決して一つではないことも学べるでしょう。この考え方は、社会に出てからも応用できますから、ぜひ身につけて欲しいです。 とにかく学生の皆さんには、自分たちが恵まれた環境にあることを認識して、その環境を巧く活用して頂きたい。今は自分の人生を輝かせるための準備期間なのですから。「目的」や「目標」がないと「教育」は意味を持たない。だからこそ実践的教育により目標設定をサポートしていく。第14代学長森本 三義昭和50年3月松山商科大学経営学部卒業。昭和56年3月大阪大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。平成2年10月松山大学経営学部教授に、平成19年1月現職に就任。教育のなかにある、“実践”

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