Creation-162号
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現場を踏まないビジネスプランはビジネスプランではない 今年2月、経済産業省主催「社会人基礎力育成グランプリ2009予選」において、経済学部の特殊講義「ベンチャービジネスと市場」を受講している学生が奨励賞を受賞しました。この講義の前半は座学が中心となり、経済や市場において「ベンチャーの果たす役割は何か」を学んでいます。ベンチャーを起こす人に求められる資質など、抽象度の高い理論からマーケティング調査をするための理論まで、スキル系ではなく学問的な理論が中心となります。次のステップでは、前の講義で学んだことをディスカッションで深めて行くグループワークを行います。 夏休みには「現場を踏まないビジネスプランはビジネスプランではない」というコンセプトのもとに自主研修を実施します。これは学生に問題を抱え且つ、それを解決しようとしている現場に、泊まり込みで行って来なさいというハードなものです。現状を打破しようと頑張っている人が、どういうきっかけで問題に気がつき、解決するためにどんな工夫を行っているのかを自分の目で見て、耳で聞き、実際に体験したことを報告してもらいます。自主研修は2泊3日から4泊5日程度で、研修先は基本的に学生が自分で探すのが原則。愛媛県内の農業法人、第三セクター、道の駅などが多いですね。研修中は毎日携帯で写真を送ってもらい、最終的には写真と一緒に日報を書いて報告してもらいます。研修とはいえ現場ではまったくの足手まといになりますから、研修先の皆様には大変感謝しております。 こうした前期及び夏休みの経験を踏まえた上で、後期はグループ単位でビジネスコンセプト、ビジネスプランの立て方に取り組んでいます。ベンチャーは「需要があると分かっているところではもう既にベンチャーにならない」という特色があります。そこで需要を掘り起こす「市場創出型」のマーケティングのやり方というのを学んでいくというわけです。潜在的に求めているものを探り出すマーケティングリサーチの手法、プレゼンテーションの仕方、ビジネスプラン作成など、発表に向けてのスキルと理論を併せた座学となっています。これにより、企画、発想に至るまでの社会人基礎力に含まれる問題発見能力、問題解決能力を育成。問題を発見する以前に何が問題なのかを知り、問題が何なのかが分かってくる中で、解決方法を形成する力、新しいものを作り出す力を育てていきます。学生ならではのユニークな視点と発想 近年、学生が考えるベンチャーは、自主研修の受け入れ先に起因するのでしょうが、第一次産業をテーマにしたものが多いようです。耕作放棄地問題を解決するために「学生が耕作放棄地を耕作する」とか「団塊の世代をターゲットにした長期滞在型、リゾート型施設を造る」などの意見が出ました。また「町を元気にしたい」ということで、フリーペーパー型のプランも増えています。これは余談ですが、沖縄出身の学生が「松山は月がきれいだから月を売りたい」というプランを出しました。松山城と月と言うコンセプトで、ロープウェイ街を結びつけたフリーペーパーの発行を考えたのですが、いろんな視点があると感心させられました。 以前は、県内の起業家さんに来て頂いてお話をしてもらうということが中心だったのですが、それでは座学中心になってしまいます。起業家マインド、チャレンジ精神がどこまで浸透しているのかという懸念もあり、実際にビジネスプラン経済学部経済学科松井 名津准教授愛媛朝日テレビの協力の下、結成されたチーム「EGP」のメンバー。「社会人基礎力育成グランプリ2009予選」にて奨励賞を獲得した。理論をベースに実践を重ねるその体験が学生を成長させ「社会人基礎力育成グランプリ予選」奨励賞受賞の結果に!

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