Creation-162号
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を立てさせる方向に転換しました。この形式を取り入れて5年が経過しましたが、確かな手応えを感じています。 ビジネスプラン発表会には一般市民の方も参加。かなり厳しい質問も飛びますが、そういう場を乗り越えた学生の表情には確かな自信が感じられます。大人から見ればたわいもないプランかもしれませんが、学生にとっては自分たちでスケジューリングし、苦労を重ねて仲間とともにつくりあげたことが何よりの成果。大きな壁を越えた達成感が得られます。一つのことを突き詰めて考える力、仲間とコミュニケーションしながら考える力は、社会人になってもきっと役立つことでしょう。人を育てる産学協同の新しいモデルケースに 2008(平成二〇)年度は、愛媛朝日テレビ様のご協力を頂き、同社と共同でイメージキャラクター「ココロン」の認知度アップというプロジェクトに取り組みました。その中の1グループが「社会人基礎力育成グランプリ2009予選」で奨励賞を獲得したのですが、そのグループは愛媛県立とべ動物園でのイベントを企画・実行しました。学生たちが動物の絵を描くページを5ページ、クイズや豆知識を5ページ、最後のページにココロングッズの売り場紹介というスケッチブックを手作り。クイズや豆知識のページにココロンを登場させることで認知度アップを図っていこうという仕組になっていました。このスケッチブックのお約束は「スケッチするのは子ども。そして親は子どもの話を聞いて、ココロンの形をしたコメント欄に動物が何をしているところを描いたかをメモする」というもの。そのグループのコンセプトは「ココロンはココロとココロの絆の架け橋。ココロの絆をつくるのは人と人。絆と絆をうまく結ぶ役割を果たすのがココロンだ」ということで、親子の絆を結ぶスケッチブックを用意したというわけです。全部で100部用意したスケッチブックは1時間余りで全て配布。帰りにはココロンの着ぐるみと記念撮影できる場を設けました。 実際にイベントを動かすとなると、学生の企画だけではうまくいきませんから、愛媛朝日テレビの社員の方に指導を受けて行いました。学生はイベントの裏、下準備、目に見えない所の大切さを身をもって感じたと思います。 お蔭様でこのイベントは愛媛朝日テレビ様からも大変お褒めを頂戴し、今年は同社の新入社員の方と本学の学生がタッグを組んでプロジェクトの企画をコンペティションする機会を頂いています。こういった動きは、一緒に組んだ企業にも、自社の人材養成力を高めることができるというメリットがあります。今、盛んに産学協同が求められていますが、実利を求める産学協同だけではなく「人を育てる産学協同」という新しい形を模索していけるのではとの思いを深めています。産学が協力することで次世代の若い力を育成するモデルケースになればいいですね。 「社会人基礎力育成グランプリ2009予選」における奨励賞受賞は、評価以上の効果があったと思います。まず、学生たちは非常に落ちついてプレゼンすることができました。残念ながら本選に進出することはできませんでしたが、驚いたのは「自分たちに何が足りないのか」を審査員の方に直接聞きにいったことです。その積極性には私自身、驚きとともに喜びを感じました。様々な経験が学生をたくましくさせているのだと、しみじみと感じましたね。教育のなかにある、“実践”愛媛朝日テレビの長谷川氏による特別講義に、熱心に聞き入る学生たち。当講座は一般の市民にも公開されている。とべ動物園でのイベントで参加者に配られた「スケッチブック」の中身。動物園の豆知識やクイズなど、ココロンが案内役で各所に登場して自然と認知を高めている。

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