Creation-162号
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社会福祉士国家試験で私学合格率トップに輝く 2009年3月31日、第21回社会福祉士国家試験の合格発表が行われ、本学からは12名の受験者から8名の合格者が出ました(厚生労働大臣が指定する財団法人社会福祉振興・試験センター運営、試験は2009年1月25日実施)。合格率66・7%という見事な結果を納めることができましたが、これは受験者10名以上の全国の国公私立大学で14位、私立大学だけなら全国でトップです。本学からの受験者数そのものが決して多いとは言えませんが、全体の合格率が29・1%であることを鑑みれば、これはかなり評価できると考えています。 社会福祉士はソーシャルワーカーともいい、高齢者、児童、障害者の福祉施設で管理・相談業務をするほか、病院、役所、学校、社会福祉協議会、ハローワークなどでも必要とされるなど現在、職域は拡大傾向にあります。全国トップの合格率というのは非常に嬉しい結果ですが、普段の講義や演習で特別な指導を行っているわけではありません。 たとえば日頃から口を酸っぱくして言っているのは「人としてやるべきことをやる」ということ。挨拶をするとか、時間を守るとか、社会人としてのマナーを身につけることが、すべての基本なんですね。松山大学の学生は本当に真面目で、こちらが言ったことを素直に受け止め、吸収し、実現しようという熱心さがあります。その反面、積極性やバイタリティは足りないかな(笑)…と思うこともあります。ですから長所を伸ばすべく、こまめに声をかけ、サジェッションをして、向上心を常に持たせるように配慮しました。あとは各自のやる気を尊重し、密にコミュニケーションをとってきました。体験後に検証することでより大きな成果を生み出す そもそも社会福祉士課程では、社会福祉の現場で活躍する専門職の養成に主眼をおいています。この課程の卒業生のほとんどが、福祉の現場で働いています。とはいえ、学生たちは最初から卒業後の仕事について具体的なイメージを持っているわけではありません。そこでまずは学生たちの興味を喚起することを目的に、さまざまな社会問題について考える機会を与えます。その後、現場実習などを通じて、より理解を深めていくという手法をとっています。 このほか、障害者を取り巻く環境について理解を深めるために、毎年ではないのですが、施設の入所者の方を松山大学にお招きする「松大ウォークラリー」を実施。これは身体障害者の方に大学に来て頂いて、学生たちが学内を案内するというもの。参加して頂いた施設の入所者さんや職員さんからも非常に喜んで頂いています。2年次からは体験ボランティアもしていますが、これはボランティア先を探す所から学生が取り組み、体験後はレポートを提出。さらに卒業生をゲストスピーカーとして招いて、勉強方法や現場の本音を聞く機会も設けています。いずれも実習や体験が終わったら、必ず報告書をまとめて、自らの体験を振り返り、検証する機会を設けているのも大きな特徴といえるでしょう。 一つ一つの取り組みで、着実に結果を出すことができたのは学生が頑張ったからにほかなりません。今回の社会福祉士国家試験の合格率私学トップという結果も、学生たちの努力の賜物です。先にも述べたように松山大学の学生は、素直で真面目なので、私たちはその良さを発揮するきっかけ作りをしているに過ぎませんからね。私自身が日々、学生たちの成長に驚き、感動しています。実習、体験ボランティア、松大ウォークラリーなど人と関わる機会を設けて将来の具体的なイメージ作りを。教育のなかにある、“実践”人文学部社会学科松原 日出子准教授施設の方を学内にお招きしキャンパスを案内することで、参加者に喜んでいただくと共に、学生側も障害者の方の視点を学ぶ機会となった「松大ウォークラリー」。

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