Creation-163号
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 松山大学法学部と愛媛県選挙管理委員会、愛媛県明るい選挙推進協議会の共催という形で2007年に「ワークショップ 投票に行こう」がスタートしました。具体的には選挙をテーマにした俳句をつくる「選挙句会」、若者向けのより有効なPR方法について意見交換をするワークショップ、県庁見学ミニツアーなどを実施。愛媛県が独自に公募した選挙啓発キャラクターやその名称が決まる際にも、県からの依頼を受け、選定委員として、数名の松山大学の学生が関わってくれています。  今年のワークショップは「大学生を対象とした選挙講義」と「キャッチコピーをどうする?」の2つの内容で実施。選挙講座では、愛媛県選挙管理委員会の書記の方が選挙制度についてお話し下さいました。また選挙事務所の標札などの「選挙の七つ道具」や、投票箱、投票用紙自動交付機、投票用紙集計機などの実物を教室に持ってきてもらいました。学生たちはかなりリアルに、選挙について捉えることができたのではないかと思っています。 「キャッチコピー」については、予定されていた衆議院選挙に向けて、66名8組の学生が、投票を呼びかけるキャッチコピーを制作。提案、発表の後、最優秀作品をみんなで選びました。また、それらの作品は、再審査とプロのコピーライターによる手直しを経た上で、実際に衆院選啓発活動に使って頂きました。選ばれたキャッチコピーは「この国の主役になろう。」。学生が作った段階では最後の「。」がなかったのですが、そこがプロによって手が入れられた部分。言葉としてはほぼそのまま使って頂くことができたわけです。このキャッチコピーは実際にも懸垂幕などに活用されました。さらにワークショップのフォローアップとして、学生たちに自分が作ったキャッチコピー(または自分が一番いいと思ったキャッチコピー)にマッチするビジュアル(写真)を用意させて、銀天街「おいでんか」と高島屋「ふれあいギャラリー」にてギャラリー展を実施。市民の方々にも見て頂く機会を設けました。パソコンでプリントアウトしたものを貼っただけですが、かえって学生らしく、立ち寄って頂いた方にも好評でした。 そもそも、なぜ学生を含めた若者が選挙に行かないかを考えると、一番の理由は、リアリティのなさだと思うんです。実際に「行かなければいけない」と思いつつも、選挙そのものが身近に感じられない。なので、学生には普段からなるべく政治や行政の「現場」に触れる場を提供したいと考えています。また、政治に対する無力感や不信感を払拭することも重要です。ギャラリー展の背景には、自分たちの言動で社会がほんの少しでも動くのだと実感してもらえるよう、学生の声をオトナたちに届けたいという思いもありました。 親しみやすい「ゆるキャラ」やキャッチコピーは、政治や選挙を「敷居が高い」と敬遠する層には、一定の効果があるかもしれませんが、それだけでは不充分です。しかし一方では、行政による選挙啓発活動には、政治的中立性を非常に厳格に要求されることによる限界もあります。大学ならではの強みを活かし、市民社会の進展のために、もう一歩踏み込んだことができないかと、頭を捻っているところです。(愛媛新聞記事)平成21年6月10日「選挙」や「政治」について学生たちがキャッチフレーズを制作。市民に向けて発信!キャッチフレーズが大きく活用された、数々の選挙啓発グッズ松山大学の注目記事をチェック!!法学部 准教授甲斐 朋香

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