Creation-163号
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地域社会に貢献する“実践”PDCAサイクルにのっとって英語教育の質の向上を目指す 「アクション・リサーチ研究会」は、2008年に元本学言語コミュニケーション研究科特任教授の佐野正之先生が中心となって始めた「松山大学アクション・リサーチゼミ」から生まれた県内の教員の自主研究会です。小中学高校の英語教員が参加し、英語授業改善のための手法を探ったり、英語指導に必要な知識や情報を身につけたり、相互に情報交換を行ったりしています。言い換えれば、管理やマネジメントの「PDCA(プラン・ドゥ・チェック・アクション)サイクル」にのっとって、愛媛の英語教育を質の高いものにしていこうという取り組みなのです。具体的には、まず英語の授業をする際、どんな問題があるかを考えます。例えば「児童・生徒の声がでない」という場合、声を出させるためにはどうすればいいかの仮説を立てます。歌を歌う、ゲームをするなどの計画(プラン)が出たら、それを実行(ドゥ)する。そしてその取り組みがどのような結果をもたらしたかを検証(チェック)し、もう一度省察してやり直す(アクション)。これを何サイクルも繰り返していくうちに、問題の本質が見えてくるようになるのです。 「PDCAサイクル」が生み出すのは、直接的な効果だけではありません。このサイクルを繰り返すうちに、教師が学習者をじっくりと見るようになるんですね。それにより教員自身が成長していくのです。これは小中高校の先生だけではなく、私たち大学の教員にも必要なことであると痛感しています。 「松山大学アクション・リサーチゼミ」は中学高校の教員を対象としていましたが、「アクション・リサーチ研究会」になって小学校の教員の方々にも参加して頂くようになりました。会合は毎月1回開催していますが、驚いたのは、小学校の教員の方の熱意。回を追うごとに参加希望者が増えてきていますが、どうも「松山大学では面白いことをやっている」という評判が高まっているようです。これは大変、有り難いことですね。研究会の活動を通じて愛媛県を「英語教育の中心地」に 今年、10月には2回目となる「アクション・リサーチ研究大会」の開催も予定しています。全国から100名の参加を予定しており、愛媛の教員の方が研究会の取り組みについて発表したり、シンポジウムを行ったりします。こうした取り組みを通じて私たちが目指すのは、英語教育を松山大学の武器にすること。「英語を極めるのなら松山大学へ」と言われるような優れた教育環境を創造していくことなのです。また、松山大学が中心となって愛媛県の英語教育を牽引していくことで、愛媛県全体のレベルアップを果たしていきたいと考えています。これは私たちにできる大きな地域貢献といえるでしょう。歴史的に見ても、もともと松山大学は「実学」としての英語教育に定評がありました。今後、更にその役割は大きくなっていくものと感じています。言葉はコミュニケーションのツールですから、いくら知識があっても使わなければ意味はありません。日本語を愛するように英語を愛し、日本語で他者とコミュニケーションを取るように英語でコミュニケーションを取ることも大切にして欲しいと思います。松山大学をそんな英語教育の中心地としたいですね。今年5月に開催されたアクション・リサーチ研究会には、小中高の英語担当教員や教育委員会員などが40名が自主的に参加し、指導法・教材開発などの情報共有が行われた。人文学部英語英米文学科金森 強教授小中高校の教員とともに現代に必要とされる英語教育を研究。将来は松山大学と愛媛県を英語教育の中心地としたい。

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