Creation-164号
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就職や社会人生活にも役立つ「楽しいプロジェクト」をスタート 私自身「松山でもっと楽しいことができないものか」という思いを常々抱いていました。学生も同じような気持ちを持っていると感じていたため「何かみんなで面白いことをやろう。その面白いことが就職活動や、仕事を持ってから役立てばなお良いのでは」と、実践的な取り組みを模索していました。その時に舞い込んで来たのが、内子町の亀岡酒造さんからの依頼でした。「学生の感性を活かした商品をつくり、日本酒の低迷を打破したい」という話です。願ってもないチャンスだったので、すぐに「脱・日本酒プロジェクト」を立ち上げました。2007年6月のことです。当時の経営学部3年次生の中から「何か新しいことをやりたい」「お酒が好き」という10人の学生がプロジェクトに参加し、新商品の提案に取り組みました。その結果、2008年12月に愛媛県特産のみかんと日本酒を使ったリキュール「i-sole」が誕生。販売がスタートしました。お陰様でヒット商品となり、1年を待たずして3万本近くの売上を記録しています。現在「i-soleプロジェクト」として第2弾の「i-soleプレミアム」の開発に取り組んでいます。 並行して2007年後期からは、企業から課題を頂き、その答えを学生が導き出すという課題を授業に取り入れました。具体的には、八幡浜のあわしま堂さんと和菓子需要を高めるための嗜好調査やアイデア提供、縫製会社さんとオーダージーンズの販路拡大の方法の提案など、地元企業との連携で実績を積み重ねていきました。さらに2008年からは季節菓子メーカーのハート社さんとバレンタイン商品企画プロジェクトに取り組んでいます。目標はマーケットに受け入れられること 「i-sole」はマスコミにも随分取り上げて頂き話題となりました。しかし、最終的な評価は「マーケットに受け入れられるかどうか」で決まります。いかに良い商品を開発してもそれが無いと意味のないこと。ただ残念なことに、理系分野と比べて、文系分野の学生の取り組みは評価に結びつかないのが実情です。実は2008年、大学生対象の「第6回キャンパスベンチャーグランプリ(CVG)四国」に山崎ゼミの2年次生で4プランをエントリーしました。そのうち「アバターを使ったファッション広告」というプランが奨励賞をとりましたが、四国4県で50プラン応募のあったなか、文系の受賞は本件だけ。正直、技術に偏った審査のあり方に不満を感じています。単に発明や特許を評価するだけでなく、それをニーズと結びつけ、市場とつなぐ役割も評価されなくてはなりません。それが理解されなかった審査過程に、私も学生も納得がいきませんでした。 そんな折り、バウコミュニケーションズさんからフリーペーパー「key(キー)」の制作協力のお話しを頂きました。前述のCVGの応募プランに「一人暮らしの大学生のためのフリーペーパー」というものがあり、それを実現するチャンスを得たのです。最初に手がけた2009年6月号の企画は学生のアイデアで「初めての○○」に決定。大学周辺地図や合コン・メイクなど、学生目線で一人暮らしの学生に向けた誌面制作をしました。もちろん、企画以外のスポンサー集めや取材・レイアウトまで、全ての業務を学生が手がけました。企業と学生、お互いの意識の差にとまどい、苦しんだ場面もあったよう 一つのプロジェクトから次のプロジェクトが生まれ、社会人にとって必要なコミュニケーション能力を実践を通じて学んでいく。ゼミ活動から始まった「Key」制作プロジェクトだが、現在公募メンバーの手で制作が行われている 経営学部経営学科山崎 泰央准教授〈No.164〉 2010 Winter

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