Creation-164号
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ですが、発刊された「Key」を手にした時はみんな大喜びでした。各自が得意不得意を知り力を合わせることの大切さを学ぶ 企業さんのご協力のもと、様々な取り組みを進めていますが、最もよかったことは、実践により学生たちが「自分たちに不足しているモノ(能力)」を実感したこと。そして、ないモノをどのように補っていくかを学べたことですね。学生は「自分たちで何でもやろう」と安易に考えてしまいますが、実践を通じて、自分にあるモノとないモノを見極めることができました。そして、ないモノを他の誰かに協力してもらって補う、という発想をするようになりました。これは対外的なことだけではなく、学生同士の関係性でも同じ。自分や仲間の得意・不得意を見極め、コトを成し得るために誰がどの方面で力を発揮するべきか、という関係性が自然と分かってきました。これに気が付いたところに、学生の成長を感じます。 また一つのプロジェクトが次の活動につながった点も、非常に良かったと思います。地域活性化の研究や人材育成を目的とした「地域活性学会」という学会があります。2009年7月に東京で開かれた「第1回研究大会」の展示コーナーに亀岡酒造さんに協力をいただいて「i-sole」を出展しました。その日の夜、食事に行ったお店で「i-sole」の話をしたところ「毎月全国の食材と地酒を提供するイベントをやっているので、それを松大の学生でやってみないか」とお声がけ頂きました。「夢酒みずき」プロデューサー・森隆氏との出会いです。それで急遽、食材集めからメニュー企画までを学生が行い、9月11日にみんなで上京。愛媛の食材や地酒でお客様をもてなしたり、感想をうかがったりしました。最も必要とされるコミュニケーション能力を育成 こうした活動を通じて、学生が得た最大の財産はコミュニケーション能力です。私は初対面の学生間のコミュニケーションを活性化するため「クッシュボール」というツールを使っています。これを投げ合いながら話をして、チームビルディングをしています。ボールを持ち、その色に刺激を受けることでコミュニケーションがしやすくなるのです。プロジェクトに限らず、学生たちがチームを組んで何かに取り組む際、お互いに仲良くなることが大切です。先に述べたように、得意・不得意を見極めるにしても、まずは仲良くなって心の壁を取り払う必要があります。そうすることでコミュニケーションが活発になり、お互いを知り役割分担もできます。これは学生に限らず、社会で仕事をする上でも同じです。学生がプロジェクトに関わることで、社会人生活でも役に立つ学習ができていると自負しています。 現在、このような活動が評価され、各方面からいろいろなお声がけを頂いています。松山大学は「文系の総合大学」として地元で非常にいいポジションを持っています。何かをするにしても、マスコミを含めて外部から協力を得やすい立場にあります。そうした環境を上手く利用しながら、今後も学生たちとともに「楽しいプロジェクト」に取り組みたいですね。私の役目は、連携先の企業が本気で学生の力を必要としているかを見極め、実行の段階で学生が動きやすい環境づくりを行うことだと思っています。“実践”できる人間力教育連携企業のネットワークを発端に、銀座の料理店で「i-sole」のお披露目が実現。好評を得たそれぞれのプロジェクト活動が、全国・ローカル問わず様々なメディアに取り上げられた授業のチームビルディングに活用している「クッシュボール」。質問と一緒に投げ合い、コミュニケーションを促進する〈No.164〉 2010 Winter

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