Creation-164号
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個々の「人間力」が試される就職活動で大切なのは自分を表現すること 最近、盛んに「就活(シュウカツ)」という言葉が使われますが、個人的にはどこかゲーム性を感じさせるこの言葉があまり好きではありません。就職活動の最後には「成否」という非常にシビアな結果が出ます。ある意味、自分の人生を左右する重大な結果なのですが「就活」という言葉を使うことで、その結果から目をそむけているように思えてならないのです。学生の皆さんには、厳しい覚悟と意志を持って、就職活動に取り組んで欲しいと切に願っています。では、就職活動とはどうあるべきなのかということを考えた場合、これは個々の「人間力」が試され、判断されるものだと考えて欲しいのです。就職活動は、20余年の自分の人生をどのように表現するか、どのように総括するかを考える絶好の機会。言い換えれば、社会に出た時に自分は何ができるかを見つめ直すのが、就職活動なのです。自分の人生、学生生活を振り返り、自ら脚本を書き、演出をして、役者となって自分を表現する。一方で批評家としての目線も持ち、客観的に自分に足りない物を補っていく努力をしなくてはなりません。つまり、就職活動というのは、究極の「自己表現」なのです。 しかし大半の学生は、自己表現をする術を身につけておらず、何より、自分を客観視することにも不慣れです。そこでキャリアセンターでは、1年次にまず「自己発見レポート」を作成させ、自分を知る機会を設けています。そしてそれに基づいてガイダンスを行い、講座や面談、講演会、模試、セミナーなどを時期に応じて開催。「自己表現」のサポートを行っているのです。仕事を通じて自分の人生を輝かせるそのためのキャリア教育の充実を ここで勘違いして欲しくないのは、就職は決してゴールではないということです。自らのライフプランを描いて、それに沿ってキャリアを身につけていく中で、就職は最初の大きなステップにしか過ぎません。就職後は「働く」ということを通じて、いかに自分を高めていくか、いかに自分の人生を豊かに輝かせるかを問われる、いわば人生の本番なのです。かつて私たちの部署は「就職部」という名称が使われていましたが、これはその名の通りに「就職」をお手伝いする部署。しかし、ライフプランにあわせたキャリア教育を志向する現代においては「キャリアセンター」の名のもとに多彩なニーズに応えていくことが求められています。その一つとして、中途採用者への支援も考えねばなりません。新卒者に比べて中途採用者はハードルが高く、求められる付加価値も大きいのが普通ですが、私たちが「キャリアセンター」である以上、既卒者に対してもある程度門戸を開くことが必要だと痛感しています。 松山大学は「三実主義」という教育理念のもとに、優秀な人材を数多く輩出してきた歴史と伝統を有する学校です。OBの方々の多くが、実践の場で役に立つ能力を持っていたことが就職率の高さに結びついています。企業側が求める人材像は時代とともに変わってきますが、求められる本質は不変です。それを常に意識し対応すれば、松山大学の伝統を踏襲していくことができるでしょう。私たちもその自覚の下に、キャリア教育の一翼を担っていきたいと考えています。“実践”できる人間力教育キャリアセンター事務部長岡村 伸生自らの人生を振り返って脚本を書き、演出をし、役者となって自分を表現する。就職活動は、究極の「自己表現」。キャリアセンターのスタッフが、学生のライフプラン作成・キャリアアップ等の相談に対応している〈No.164〉 2010 Winter

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