Creation-165号
10/20

 ご存知のように一昨年の9月に経済、社会状況が大きく変わり、学生たちの就職についての環境は非常に厳しいと言わざるを得ません。平成22年2月28日時点の全学部の就職内定率は74・3%です。これは必ずしも満足できる数字とは言いがたいのですが、中四国の他の大学と比較してみると、かなり善戦している状況です。そして3月に入ってさらに数字の上積みを果たしており、卒業生全体に占める就職内定率は90%を超える数字まで伸ばすことができました。これで前年度の最終的な実績を臨むことができる数字です。つまり、就職を取り巻く状況が非常に厳しい時代の中にあって「就職に強い松山大学」の真価を発揮できているというわけです。 ちなみに近年で就職率が良かったのは、平成19年度の就職率96・3%(平成20年4月21日時点での結果)です。これはバブル期以来、過去17年で最も高い就職率となっています。 「就職」は、学生たちが人生で最初に迎える大きな節目です。私たちは、就職を取り巻く環境の厳しさに対して、「景気がよくないのだから仕方がない」と諦めてしまうことはできません。そこで企業側の求人傾向について、情報を集め分析しました。一番の大きな変化は、好景気時において、企業の採用担当者の最大の命題は「人数の確保」でした。たとえば100人の人材が必要だとしましょう。一般に新卒採用者の3割は3年以内に離職すると言われていますので、企業側はその人数も見越して130人を採用するというのが通例でした。しかし、現在は「もし3割が離職しても、その時には中途採用などで補充すれば良い」という考え方が定着しており、その時点での必要な人数である100人しか採用しないという傾向にあります。つまりあらかじめ採用人数が抑えられてしまっているのです。これに加えて、業績の状況を鑑みて新卒採用を見合わせたり、人数を減らしたりする企業が増えていますから、結果的に学生側にとって不利な状態がつくられているのです。 さらに企業側が採用にかかるコストを減らす傾向も強まっています。それにより、企業側の求人情報が我々や学生たちに非常に伝わりにくいという状況になっています。これまでのコストをかけた広報活動により、広く一般に知られていた情報が手に入りにくいのです。それを打開するためには、求職側が直接情報を収集していく必要がありますが、これも簡単なことではありません。というのも、たとえば私たちが日常で使用する商品やサービスを提供している企業ならホームページを閲覧したり、資料を直接受け取ったりというのが可能ですが、一般市民(エンドユーザー)に直接関わることが少ない企業、いわゆるB to Bの事業を行っている企業については、その存在すらも把握することが難しいのです。一方で、たとえば福祉関連の求人というのは非常に堅調なのですが、学生側の選り好みもあって就職率は伸び悩んでいます。 そこで私たちに求められるのは、まずはあらゆる〝つて〞を頼って情報を掘り起こしていくこと。次にイメージだけにとらわれず、就職先の実情を知り、そこにあるやりがいを見出す機●平成21年度の就職状況厳しい時代の中にあって「就職に強い松大」が健闘●厳しさの背景採用コストの削減により情報が出にくい状態に「これまでに輩出した多くの人材の評価が松山大学の評価になり後輩たちが厳しい就職戦線を勝ち抜くためのサポートとなっています」厳しい中にも多くの光が見られ90%台を確保。平成21年度の就職状況を分析松山大学キャリアセンター濵岡 富雄 事務部次長Hamaoka Tomio【松山大学キャリアセンターレポート】CREATION 〈No.165〉 2010 Spring

元のページ  ../index.html#10

このブックを見る