Creation-168号
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最高裁判所 司法研修所新第64期司法修習生  岡本 真也さんOkamoto Shinya(2000年3月 法学部法学科卒) 数ある試験の中でも難関といわれる司法試験に合格し、現在は司法修習中である岡本真也さん。卒業後は一般企業で約3年間勤務し、退職してから司法試験へ挑戦したという経歴の持ち主だ。「法学部に進んだのは高校のときの適性検査の結果を信じてでした。思いっきり法律系に適性が突出していたので(笑)。大学の授業は面白くて興味深かったのですが、その当時法曹界に進むことは特に考えてなくて普通に一般企業に就職したんです。就職氷河期ということもあり、苦労して何とか就職できたという感じでしたね」。 就職してからは仕事の面白さと同時に実務の難しさを痛感したという。商業登記や総会議事録の作成、新卒採用関係、保険の契約…、すべきことの多さに混乱してしまうほど忙しい日々が続く。「仕事にやりがいはありましたが、日常をこなすことが目的になり主体性がなくなっていました。商法系を履修していなかったので大学時代に学んだことを実務に活かせなくて。このままではいけない、自分を鍛え直す必要があると感じたんです」。 岡本さんは自分を鍛え直す意味も含めて会社を退職、その後香川大学の法科大学院(ロースクール)設立の構想もあり、司法試験へ挑戦することを決意する。卒業してからのブランクがあったにもかかわらず、実質倍率5倍の狭き門を突破し1期生として入学を果たした。 司法試験に見事合格したのは今年9月、卒業してから2回目の挑戦のときだった。「ロースクールでの3年間では基本7科目を徹底的に勉強しました。司法試験では民法が一番大切なんですが、科目も多くて大変でしたね。裁判官を目指そうかと考えたこともありましたが、弁護士の職域の幅広さに面白味を感じてきて。また、地元の自分の適性と希望を見つめ直して挑戦した司法試験新たなビジョンを持って弁護士としての一歩を踏み出すOB・OG InterviewOB・OGインタビュー後輩へのアドバイス僕自身が進路を深く考えずに大学4年間を過ごてしまったという反省もあり、まずは自分のビジョンを確立することが大切だと思います。あと、採用担当をしていた経験からのアドバイスですが、集中して打ち込むものを勉強で1つ、課外で1つ持っていれば就活においてアピールポイントが高く有利ですよ。松山で働きたいという思いが強く、地元に密着した仕事ができるのは弁護士なので、その道に進むことを決めました」。現在は司法試験合格者を対象にした1年間の実務修習途中にあるという岡本さんは「将来的に開業するためには、何にでも対応できることと得意な分野が必要です。今後は、現時点で得意分野としている経済法や、得意とする人の少ない行政法の知識を研いていきたいですね」と語る。来年の11月には修習も終了し、弁護士として歩み始める予定の岡本さんの活躍が期待される。日常に流されていた自分に気付く自分の適性と大学で学んだ法律系の知識を活かしたいCREATION 〈No.168〉 2011 Winter9

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