Creation-170号
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1.理念・目的 校訓「三実」(真実・実用・忠実)を根底に、ディプロマ・ポリシー(卒業認定・学位授与に関する方針)、カリキュラム・ポリシー(教育課程の編成方針)、アドミッション・ポリシー(入学者受入方針)のもとで、経済・経営・人文・法律及び薬学を中心とする専門知識の習得のほか、社会に即応した問題発見能力や問題解決能力を身につけさせ、この厳しい社会環境に耐えうる有為な人材作りを目指します。2.概要 本学は2013(平成25)年に創立90周年を迎えます。これを契機に、2023(平成35)年に迎える100周年に向けて「飛躍」を合言葉に、更に歴史と伝統を積み上げ、教育・研究や地域貢献で評価される大学として、一層の努力をしなければならないと考えます。大学や短期大学を取り巻く環境は、1992(平成4)年度から18歳人口が年々減少する一方で、大学・短期大学への進学率は年々上昇し、これから約10年間は18歳人口の推移が120万人前後を示し、安定期にあるといわれますが、その後は110万人前後へと降下します。他方、四国地区の18歳人口の減少率は他の地区と比較すると高い傾向にあり、本学にとって、①少子化、②大学間競争の激化、③規制緩和と質の確保、④自己点検・評価と認証評価、⑤高等教育に対する公財政支出の割合等にいかに対応していくかが課題になります。 このような中で100周年に向けての大学作りが問われることになりますが、本学のように地方に位置する大学にとっては、その存立する地域を含めての地域間競争になることが予測されます。 2008(平成20)年の「リーマン・ショック」後の金融市場を不安材料として世界経済が変調をきたし、我が国においてもデフレによる経済の低迷、景気の後退を受けて雇用環境が悪化する中、1 中・長期経営計画検討委員会の編成 中・長期経営計画担当の常務理事を中心に、創立100周年を念頭におき、中四国ナンバーワンの私立総合大学として持続的に発展させ、西日本屈指の私立総合大学を目指して、地域社会から信用・信頼される大学から、さらに活躍が期待される大学へと飛躍させるため、文京キャンパスおよび樋又キャンパスの有効利用に関するマスタープランを作成し、これに従い更なる教育研究の充実を図ることとします。2 学内情報ネットワーク・インフラの再構築 学内LANは1990年代に非常に簡便な形でスタートしました。その後、様々な要求に応じたために教育・研究用途、事務処理用途等で様々なシステムの拡張が行われました。これらの拡張を経て複雑化した現行の3系統のシステム(教育系、事務系、シンクライアント系)を見直し、シンプルで現代的なネットワーク設計思想に基づいた学内情報ネットワーク・インフラの再構築を実施します。これにより、ネットワークの混在に起因する諸問題を解決するとともに、保守サービスの複雑化を解消し省力化を図ります。そして、将来の教育・研究面でのサービス向上を図る体制を強化し、運用管理コストの削減を目指します。3 創立90周年事業実施準備 2013(平成25)年に創立90周年を迎えるにあたり、すでに常務理事会の審議においては、昨今の情勢を考慮し90周年に向けての募金活動は実施しないこととしておりますが、今後は、周年事業委員会を中心に創立100周年を見据えた事業計画案を策定し、各事業の予算に基づき事業を展開していきます。 また、薬学部に大学院を設置する計画を目下検討中ですが、仮に大学院を設置した場合には、学部入学者を100名として、今後は収入を将来的に安定させることを考えています。また、収入増の方策として、公的補助金収入、競争的外部資金収入、資産運用収入、事業収入等の確保を図り、学生生徒等納付金だけに頼らない収入構造を確立しなければならないと考えています。 しかし、経費削減ばかりでは、学生への教育サービスや研究の質を落としかねません。2008(平成20)年3月25日の中央教育審議会「学士課程教育の構築に向けて」の答申の中でその重要性が明示された、「三つの方針(学位授与の方針、教育課程編成・実施方針、入学者受入れ方針)」を実行するための教育活動を展開しなければなりません。そのためには、教育・研究活動を維持するための教育研究経費予算の確保が必要となってきます。とはいえ、教育研究経費が2011(平成23)年度の帰属収入に占める割合は36.5%の予測であり、いずれは40%を超える状況になることを考えれば、景気が上向くなどの経済環境が整うことが条件ですが、学生生徒等納付金の引き上げを視野に入れることも改善の方策の一つと考えます。 なお、2011(平成23)年度から第二期の認証評価が開始されることに伴い、自己点検・評価を改革・改善につなげる内部質保証システムの構築が強く求められることから、目標・計画を明確にし、それを構成員が共有し、その実現に向けて努力を重ね、適切な評価によるフィードバックを行い、必要があれば目標・計画に修正を加え、確実に質の向上を図ります。 そのため、自己点検・評価に際しては、一年を通じて実施すべき共通事項として、(財)大学基準協会による『新大学評価システムガイドブック』(2009((平成21))年10月)をもとに行うものとし、諸事業の各評価項目にそれぞれの視点を明示した上で評価を行うことを意識付け、点検・評価に取り組んでいきます。Ⅰ.2011(平成23)年度 事業計画の概要2011財務状況報告 2011(平成23)年度事業計画の概要2010(平成22)年12月1日現在(文部科学省発表)の新卒者就職内定率は68.8%という史上最低の水準を記録し、「超氷河期」とまで言われるほど厳しい状況になっています。 また、2010(平成22)年度においては、本学における入学希望者の地元志向が強まりました。これは昨今の経済状況が要因の一つと推察されますが、日本私立学校振興・共済事業団の私学経営情報センターによる同年度の「学校法人基礎調査」に基づいた調査では、全国のほとんどの地域において入学定員充足率はアップしています。しかし、入学者数が定員を下回る「定員割れ」となった私立4年制大学は215校と、前年の265校からは改善されたものの、依然38.12%の大学が厳しい状況に置かれていると報告されています。 このような中、2011(平成23年)度の大学受験の状況は、昨年にも増して「地元志向」、「安全志向」が重視され、家計負担の軽減を考え国公立大学への志向が目立つものになっています。この傾向は、しばらくは変わらないものと思われます。 本学は、歴史と伝統、更には教育や研究、地域社会をリードする多数の人材の輩出により、中四国地域においては他の大学と比較した場合、比較的優位な立場にあるといえ、今後は目標とする「西日本屈指の私立総合大学を目指す取り組み」に力を注いでいく必要があると考えています。 さて、現在の本法人における財務状況を入学状況から見てみると、文系学部では定員を十分に確保している一方で、薬学部は定員割れという状況下にありますが、最小限の収入超過を維持しているというのが現状です。 消費収支の予測では、今後の志願者動向にもよりますが、2011(平成23)年度の薬学部の入学者を80名と仮定して算出した場合、2011(平成23)年度における帰属収入予測が70億1,466万円、消費支出が67億6,828万円となり、帰属収支差額は2億4,638万円の収入超過となりますが、すぐに大幅な収入増が見込めない状況に変化はなく、支出の抑制は必要不可欠となります。Ⅱ.2011(平成23)年度の主な事業計画 学校法人松山大学としての重点事業4 薬剤師国家試験合格に向けての 体制強化 2012(平成24)年3月実施予定の、本学初となる薬剤師国家試験の受験に向けて、その対策として、総合薬学演習を開講するなど、学習環境をより一層充実させるとともに、キャリアセンターの協力を得て就職活動に対する全面的なサポートも行います。5 社会連携強化 (【仮称】社会連携室の設置) 現在、松山市、内子町、愛媛大学など6機関との連携事業や、社会人基礎力育成プログラムのほか、学習意欲のある市民に対する学びの場として2010(平成22年度)からコミュニティカレッジ講座を実施しています。より一層地域に根ざした大学として社会との連携強化・拡大を図るため、2011(平成23)年10月1日には経営企画部に「(仮称)社会連携室」を設置します。6 事務組織の再編(情報センター事務部、薬学部事務部) マンパワーの有効活用を図るため情報システム部の事務システム課と情報教育課の2課を統合して「情報センター事務部情報センター課」へと改組し、また、薬学部完成年度に向けて薬学部事務室を経営企画部から独立させ、「薬学部事務部薬学部事務室」へと改組することで組織の強化を目指します。CREATION 〈No.170〉 2011 Summer20

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