Creation-171号
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上島町長  上村 俊之さんUemura Toshiyuki(1979年3月経済学部経済学科卒)不満を言う前に、まず自分が動く精神と周囲の仲間を大切にしながら信念を持ってまちづくりに挑む今、ITや技術の時代といわれていますが、日本の良さはやはり「精神」にあると思います。武道をやっていると自然と身に付いてくるのですが、ぜひそんな素晴らしい日本の「精神」を大事にしてもらいたいですね。また学生生活においては遊ぶことも何かのプラスになっていますので、メリハリをつけて大いに楽しんでほしいと思います。語る彼だが、その背景には人と人とのつながりを大切にし、自分自身のたゆまぬ努力があったからこそのことだろう。 もともと大学進学は目指していなかったという上村さんだったが、高校3年の夏に周囲の影響もあって一念発起。猛勉強の末、松山商科大学(現・松山大学)と京都の大学に見事合格を果たす。将来は弓削島に戻って働きたいと考えていた彼は、地元・愛媛県の大学に進学した方が有益だろうと松山商科大学への進学を選んだ。 大学では少林寺拳法部に所属、中四国大会で優勝するなど華々しい活躍をみせる。「当時の松大は武道が盛んで、常勝があたり前。試験では愛大に勝てなくとも武道なら"愛大何するものぞ!"と、そんな時代でした。練習は厳しいし、先輩にはどこ関係者間の調整など困難なことにも多々遭遇。そして自分のやりたいことを100%実現するためには人の力に頼るのではなく、自分でやるべきだと気づき、町会議員へ立候補することになる。「政治の世界に入った(議員になった)以上、やはりトップにならなくては自分の思ったまちづくりができない。不満を言っても何も解決しない。実行力を身に付けてその道に進むしかない、ということで結果的に町長という道を選ぶ形になりましたが、周囲の仲間の支えがあり、みんなが信頼してくれたおかげだと思っています」。 自然な流れで町長になったとで会っても大声で挨拶しなきゃいけなかったり。学食でもやらされて一般学生から白い目で見られ恥ずかしかった(笑)。でも、そのおかげで長幼の序や礼儀という大事なことが身に付きました。人としての基礎がしっかりしていれば、どこにいても伸びていける人間になれると思います」。上村さんのアパートには仲間が集い、部活に勉強、プライベートと大いに賑やかで楽しい学生生活を送った。それらすべての経験は、今でも彼にとってかけがえのない思い出であり、人生における大きな財産になっているという。 親しみのある笑顔で我々を迎えてくれた上村俊之さんは、弓削島・岩城島・生名島・魚島ほか、25の島々からなる上島町の町長として忙しい日々を送っている。大学卒業後、故郷の弓削島に戻り家業を手伝っていたが、当時所属していた商工会青年部からの後押しもあって町会議員に、やがて町長への道をたどることとなった。 最初は政治にまったく興味がなかったという上村さんだが、地元のイベントなどに積極的に参加するなかで、役所への交渉、B・OGInterviewOB・OG インタビュー武道で精神を鍛えた4年間他人に頼るのではなく自分がやる後輩へのアドバイスCREATION 〈No.171〉 2011 Autumn13

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