Creation-176号
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生き抜けるための基礎を身につけてもらいたいと思っています。 そのためには、通説を鵜呑みにするのではなく、疑うことのできる思考力、情報やデータの出所から洗い出す手間を厭わない根気強さ、自らデータを集める行動力を涵養することが必要であり、本学の演習(ゼミ)はその役割を担っています。 本学の学生の皆さんは、小中高と厳しく躾けられており、礼儀の点では問題はないと思います。一方で、指示されることに慣れすぎて、積極性に欠けるきらいがあります。例えば授業で分からないことがあっても、授業中はもちろん、授業後にも質問することなく「分からない」と愚痴だけこぼして帰ってしまう学生がいます。大学は「分からない」ことを「分かる」ための場所であり、勘違いや誤解を修正していく場所です(試験では間違えられません)。講義やゼミの時間では学生自身が自分の理解度を確認するために、積極的に質問や意見を教員や他の学生に投げかけてほしいと思います。教育の質を高めるためにも、大学が果たすべき大きな役割の一つは、様々な情報に対する考え方やその分析・活用能力などの「知」を磨き、社会に発信していくことにあると思います。本学でも、これまでコミュニティ・カレッジや各種のシンポジウムまたは個々の教員の活動を通して地域社会に様々な情報を発信してきました。私は、地域や全国の新聞やマスコミ、その他の媒体を通して、本学で教育、研究されている「知」をより広く発信していきたいと考えています。大学は「分からないこと」を「分かる」ための場所だから質問が活発に飛び交う校風に これからの大学運営には、冷静かつ建設的に取り組む所存です。上述しましたように、社会の要請にかなう人材を育成することが本学の目的であると考えます。大学生活はわずか4年ですが、その4年間で卒業後の40年以上の職業人生を公庁の期待に応えるためのキャリア教育のいっそうの充実です。本学は、これまでもキャリアセンターや関連する企画などを通して、学生のキャリア形成支援に力を入れてきました。私は、本学の貴重な財産であるOBやOGと連携し、早い段階から社会の経験や具体的な将来像に触れ、自己の研鑽に対する学習や意欲の形成を促し、社会の要請にかなう人材育成に努めていきたいと考えています。経済環境が大きく変化する中では、専門的知識や能力だけではなく、卒業後の「伸び代」に必要な教養や知性の習得といった大学教育の意味はいっそう高まっていると思います。「真実」「実用」「忠実」を理念とする本学の教育の価値についても、積極的に発信していくべき時代であろうと思います。 第三に、本学を様々な形で支えていただいている地域社会の期待を念頭に、地域における「知」の拠点としての大学の役割を高めていきたいと思います。学生に対する選ばれた責任を重く受け止め校訓「三実」を理念に教育の質をいっそう高める 学生とその父母、卒業生の進路先、地域社会といった本学を支えていただいている方々を念頭に、次のようなことに取り組みたいと考えています。 第一は、学生とその父母の期待に応えるための教育の質の改善です。本学には、親身に接し、分かりやすく充実した教育サービスを提供することで学生から高い評価を得ている教員が数多くいます。私は、このような教員の創意工夫や意欲を広く共有し、学部学科の枠を超えて、「真実」「実用」「忠実」を理念とする本学の教育の質をさらに高めていきたいと思います。ゼミナールや研究室を中心とした少人数教育の充実によって、学生一人ひとりに目を配り、学生の成長を促していきたいと考えています。 第二は、卒業生の進路先として、採用していただいている企業や官①新学長が思う松大の魅力を ひと言で表現すれば? 三実。②学生時代はどんな学生でしたか? 財務会計の勉強に勤しみました。③学生時代、もっとも打ち込んだものは? 財務会計の勉強。④趣味は? 財務会計の研究。⑤いま一番の愛読書は? 武田隆二著『最新財務諸表論』 中央経済社。私の恩師の著書です。⑥必ず見るテレビ番組は? ニュース。局は特にこだわりません。⑦新聞は何欄を一番に読みますか? 第一面。⑧松大のなかで一番落ち着く場所は どこですか? 自分の研究室。⑨カルフールの食事は何が一番好きですか? 日替定食。⑩いま100万円をもらったら、どうしますか? 直ちに返金します。新学長の日常一問一答4CREATION 〈No.176〉 2013 Winter

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