Creation-178号
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 2013年春、2期生を卒業させた薬学部では、いくつかの課題が見えてきた。そこで、薬学部では、薬学生に医療人としての目標を早期に意識させるとともに、徹底した弱点の補強による薬剤師国家試験の合格率向上を目指したカリキュラムの再編を行っている。まず、初年時教育の強化、スムーズな高大接続、医療人としての視野拡大などを目指し、既存科目の改善、指導体制の充実、新しい取り組みが導入された。 昨年度から新しく開講した「薬学基礎実習Ⅰ」では薬学生としてのモチベーションをアップさせる状況づくりと、学生生活をスムーズにスタートさせることを目的に充実を図った。製薬会社や医療機関での体験実習、救急救命法講習、薬害患者による講座、本学薬学部卒業生による講演、自校史講習など、内容の多くは薬学生としての自覚を促すものとなっている。学生が能動的・意欲的に取り組める内容であり、学生同士でコミュニケーションを深めるグループ作業や毎回のレポート提出などを盛り込んだ内容となった。 また、基礎科目の学力が確実についていないと、国試の点数が伸びないことも分かってきた。そこで、1年次における教育改革として薬学専門導入科目の見直しを行い、物理学、化学、生物学の中で薬学分野で特に必要な部分を抽出した5科目を必須科目とした。これにより、高校における理科科目と大学における薬学専門科目とのスムーズな橋渡しができるとともに、1年次後期から始まる薬学専門教育に対するモチベーションを高めることができる。 最近では学力的・性格的に多様な学生が入学するようになり、大学になかなか馴染めなかったり、友人をつくれなかったりする学生も見られる。そこでアドバイザー制を充実させ、特に重要な入学後の低学年次において教員と学生との接触回数を増やし、教員は学生の状況を把握して問題の早期発見と解決に努めるようにした。さらに1年ごとに担当が変わっていたアドバイザーを、入学時から3年次までの期間を同一アドバイザーが担当することで学生との関係をより深め、きめ細やかな対応ができるようにした。 また、ハワイ大学薬学部への短期海外研修を今年度から取り入れ、現地で医療制度に関する講義、臨床薬剤師が働く医療センターの見学などを実施する。この制度により豊かな国際感覚を持ち、高いコミュニケーション力と包容力のある人材を育成していく。 従来の大学教育は専門知識をしっかり教えることが主であったが、新しい大学教育は養成したい人材像をはっきりさせて、それに基づいた教育を行っていくことが求められている。学生がどういう職業人になりたいかという目標を持ち、自ら学んでいくのをサポートするのが教員の役割であり、学ぶ意欲を満たすカリキュラムを提供するのが大学の役割と心得て、日々改革を進めている。養成したい人材像に合わせた新しい大学の薬学教育薬学専門教育に接続する初年次教育の整備学生指導の強化と医療人としての視野を広げる初年次教育を改革して学習意欲を高め国試対策を強化する薬学部長 薬学部教授 松岡 一郎 Matsuoka Ichiro薬学部教務委員長 薬学部教授 古川 美子 Furukawa Yoshiko薬学部学生委員長 薬学部教授 野元 裕 Nomoto Hiroshi 柴田 和彦 Shibata Kazuhiko「学びを本気で変えていく」 ──── 松山大学、その答え。□薬学部国際交流委員長、CBT・国試対策委員長 薬学部教授9CREATION 〈No.178〉 2013 Summer

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