Creation-178号
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 法学部政治学科に属していた学生時代、ゼミの指導教授から「地方自治の勉強には『財政』と『法律』の観点を欠いては不可能である」という指導をいただいたことが、私が「地方自治」を研究テーマにしたきっかけでした。「イギリス地方自治法(1933年)の成立とその背景」という修士論文を書いてから、「地方自治のあり方」を中心に研究を続けています。修士論文執筆の際には、それまでイギリスが「地方自治の母国」と呼ばれていたことから、ほぼ疑問を抱くことなくイギリス地方自治を選択したのですが、その実質的内容は、日本の地方自治の法制度とは大きく異なり、修士論文完成の時点では大いに反省した記憶があります。 イギリスはイングランドとウェールズという区域がベースにあって、それ以外のスコットランドや北アイルランド(別次元の統治区域)から成り立つ連合国で、それぞれの区域で言語も習慣も違い、一つの国とは言い難いのですが、日本は北海道から沖縄まで言語が同じ単一不可分の主権国家です。またイギリスの場合は一つの教区が大きくなって、イギリス地方自治が日本で通用しない理由【略 歴】 1953年6月 岡山県生まれ1980年3月 中央大学大学院法学研究科 政治学専攻博士前期課程 修了(法学修士)1980年4月 新見女子短期大学 (現 新見公立大学) 教務職員兼ねて助手1990年4月 松山大学法学部(専任)講師1990年10月 松山大学法学部 助教授1995年10月 松山大学法学部 教授 (現在に至る)2001年1月~2003年12月 学校法人松山大学 理事2006年3月 博士(法学)(中央大学)2008年4月~2012年3月 松山大学 法学部長法学部教授博士(法学) 妹尾 克敏Senoo Katsutoshi市町村合併の研究を通じて日本における望ましい地方自治の「しくみ」と「はたらき」を考察する7CREATION 〈No.178〉 2013 Summer

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