Creation-180号
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 私の担当する生薬学研究室では、主に植物を由来とする「天然物」、すなわち生薬、漢方薬、ハーブ類、食品などを対象に、疾病予防や健康維持につながる有効成分の探索研究と、天然物の有効性と安全性を評価するための手法開発や研究データの集積などを行っています。健康維持、予防医学、地域活性化、安全性確保など、社会のニーズに合わせたテーマをあげて外部機関と共同研究を行ったり、共同研究者からの依頼で新しいテーマに取り組んだりしています。 生薬などの天然物には様々な成分が含まれていますが、それが本物かどうかを見極めるのはとても難しく、そもそも、その天然物に含まれるすべての成分が明らかになっていないものや、成分そのものが何に対して有効な働きをするのか、解明されていないものもたくさんあります。それらを明らかにすることで天然物の適用を増やすことができないだろうか、というのが私の研究の一目的です。例えば「葛根湯」という7種類の生薬でできているかぜ薬(漢方薬)がありますが、それぞれの生薬の主要成分以外にも【略 歴】1969年広島県三原市生まれ1997年岡山大学大学院自然科学研究科博士課程修了[博士(薬学)]1997年 長岡香料株式会社技術開発研究所研究員1999年 厚生省国立医薬品食品衛生研究所研究官2003年 厚生労働省国立医薬品食品衛生研究所主任研究官2004年~2005年米国ワシントン州立大学生物化学研究所研究留学2006年 松山大学薬学部助教授(2007年から准教授)2012年 松山大学薬学部教授薬学部教授博士(薬学)天倉 吉章Yoshiaki Amakura天然物に含まれる成分を解析し疾病予防や健康維持、そして地域活性に役立つモノを探す 「天然物」に含まれる成分を明らかに9CREATION 〈No.180〉 2014 Winter

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