Creation-182号
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全体のなかでどこか一つが大きく伸びることにより、他がその力を活かして伸びていきます。これらの整合性をとりながら、その都度どこに力を入れていくかを見極めるのが経営者の役割であり、これらのバランスがうまく取れている会社が『いい会社』なのです。 成長ドライバ理論は企業実践を経ているので、実用性がかなりあると考えています。そのため、『いい会社』を目指す企業に経営のフレームワークとして参考にしてもらえれば幸いです。 また、大学卒業後“良き職業人生”を送るために、大学時代にどのような能力を身に付けておけばよいか、そのためにどのような教育をしておくとよいかというキャリア教育の研究も行っています。これはキャリアセンターの金森敏准教授とともに取り組んでいる研究で、大学時代に基礎となる知識と学生のマインドを結びつけることが目標。つまりキャリア教育を単なる職業教育で終わらせるのではなく、従来の大学の学問とつながるものにすることを目指しています。専門教育や教養教育と職業体験をリンクさせることで(例えば職場から与えられた課題を、大学で学んだな業種の企業に協力してもらって実験を繰り返し、それらのデータを統計的に検証して『いい会社』づくりのメカニズムを精緻化しようとしています。 成長ドライバ理論の10のドライバ(下イラスト参照)は、『いい会社』をつくるときに大切な要素を盛り込んだものです。まず「経営者」がいて、経営者が「経営理念・ビジョン」を設定し、それに基づいて顧客(ターゲット)を明確化します。そして顧客が求める価値をつかみ、その価値を提供し利益を生み出すための「ビジネスモデル」がつくられます。そのビジネスモデルは普通の能力の人が普通に働いて回らないといけないので、普通の人が普通に働いて価値を生み出せるような「システム化」が必要になります。 ビジネスモデルとシステム化がある程度そろうと通常の企業活動はできますが、時間の経過につれて顧客ニーズも社会環境も変化するので、ビジネスモデルもシステムも変えていかなければなりません。これらを改善・進化させるためには社員の成長が必要で、社員が成長するのに大切な要素が「ストレッチ」「サポート」「自律」「規律」「信頼」という行動環境なのです。 社員が自分の能力を少し超えたことに挑戦する「ストレッチ」、上司が部下のストレッチがうまくいくように行う「サポート」、そして自分で考えて目の前のお客さまの満足度をあげる行動のできる「自律」、決められたことをきちんとやり切っていける「規律」、経営者と社員・社員同士がお互いに共有できる「信頼」。これらが職場にあれば、社員は成長していけます。 社員が成長すれば、必要に応じてビジネスモデルやシステムを変えていける。つまり、「建設会社でも2ケタ成長はできる!」、「経営統計学のマネジメント的研究」、「読んで使える! Excelによる経営データ解析」、すべて東渕則之著。キャリア教育の数多くの新しい可能性相互に関係する10のドライバ統計学で解決するなど)、大学の学問の大切さや、学問として教えられていることと現実の違いを認識してもらう。また働く上での心構えもそのなかで身に付けてもらう。これをWork Integrated Learning(WIL)と呼んでいますが、キャリア関係の学会で発表させていただき、ある程度注目してくれていると思っています。 一般にキャリア教育は既存の学問と区別して扱われがちですが、右に述べたように既存の学問修得に好影響を与える新しいキャリア教育を創出し、担当する教員が無理なく実施できるよう仕組化していきたいと考えています。4CREATION 〈No.182〉 2014 Summer

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