CREATION-195号
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学術研究経のみが分布するとされてきました。しかし1988年に、血管周囲には血管を拡張する神経も分布していることを発見し、Nature誌に発表しました。この発表は従来の血管周囲神経の概念を変えたと自負しています。以来、血管周囲神経の機能と病気における役割について研究を重ね、腫瘍新生血管と血管周囲神経の関わりにたどり着きました。 腫瘍が増殖するためには、腫腫瘍の成長に関与する血管拡張神経を新発見 人間の体中の血液量は常に一定で、状況に応じて必要とされる場所に移動させる、その重要な役割を担っているのが血管周囲神経です。私が取り組んでいるのは「腫瘍新生血管への血管周囲神経分布を介した抗腫瘍効果」についての研究です。 30年ほど前まで、血管周囲には血管を収縮させる交感神薬学部教授川﨑 博己KAWASAKI Hiromu【略 歴】1946年 長崎県松浦市生まれ1965年 佐賀県立伊万里高等学校卒業1969年 福岡大学薬学部薬学科卒業1976年 九州大学薬学研究科博士課程修了 薬学博士(九州大学薬博甲第77号)1979年 宮崎医科大学医学部 助教授(薬理学)1994年 岡山大学医学部附属病院薬剤部 副部長・助教授1997年 岡山大学薬学部 教授(臨床薬学)1999年 岡山大学大学院自然科学研究科 教授(臨床薬学)2006年 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 教授(臨床薬学)2013年 松山大学薬学部 教授(医薬情報解析学)新たに発見した血管周囲神経によって負担の少ないガン治療へ応用を目指す3CREATION NO.195 2017.10

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