CREATION_199号
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専門書から真理を求め議論する力を身につける社会政策を専門領域とする小田巻ゼミのテーマは「貧困とはなにか」。歴史的、文化的背景に基づいて形成される貧困の概念を理解し、消費水準や所得などの経済状態だけではなく、社会関係の観点から貧困の意味を捉えていく。その研究手法として、ゼミでは貧困に関する専門書をテキストに指定し、輪読・報告・議論というスタイルをとっている。学生は2年次生の後期から、まず一冊の専門書をしっかり輪読し、その内容を理解した上で、それぞれが自分の言葉で報告を行い、議論へと発展させる。「まず、専門書をしっかり読み込むこと。『輪読』の声に出して読むということを重視しています。難しい文章を一定時間読むことは忍耐の必要な作業ですが、一冊の本と向き合ったという経験が、今後研究を進める上でも活かせる力になると考えています」と小田巻講師。森さんは「議論では皆それぞれの解釈があり、意見が一致しないことの方が多いのですが、それを互いにまとめながら一つの意見にしていくとき、その難しさに学びの深さを実感しました」と振り返る。2017年、松山大学に着任した小田巻講師は、ゼミを担当して2年目。3年次生の森さんと内倉さんは小田巻ゼミの一期生だ。年齢的にも学生と近く、和やかなムードのなか、学生はのびのびと研究に取り組んでいる様子が伺える。と、次のステップであるグループワークに入る。学生自らが研究学生とともに学び、考え一緒にゼミをつくり上げていく3年次も中盤に差し掛かる一人ひとりの社会への問題意識を軸に専門書の輪読・報告・議論というアプローチから自分ならではの研究成果に繋げる力を醸成する学生の考え方を尊重し、「教える」という意識よりも、一緒につくっていくことを大切にしている小田巻講師。写真からもその空気感が伝わってくる。ゼマミツ探ダ訪イ   5CREATION NO.199 2018.10経済学部経済学科小田巻友子ゼミ

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