CREATION_223号
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山商科大学(現松山大学)に進学した理由は、「どうしてもマンドリンクラブに入りたかったから」と話す村上さん。当時マンドリンといえば、“東の明大、西の商大”といわれていた時代。念願のサークルに入れたことで、村上さんの大学時代は朝から晩まで練習、演奏会、合宿とサークル活動がすべてだったといっても過言ではなく、集中力、人間関係、プロデュース力などを身に付けていった。「音楽は苦手だったのに、高校時代に友人に誘われて高校のマンドリンクラブに入ったことが、大学進学にまでつながるのだから、友人の力はすごい。大学に入ったら出会いと交流が一気に広がり、目がまわるほど楽しかったです」と当時を振り返る。卒業後は百貨店で3年間働き、結婚松  して10年間主婦として子育てに専念。その後は婚家の営む会社で仕事に就き現在に至る代から仕事と家事の合間に文章を書き始めた村上さんが、第1回『幽』怪談文学賞で大賞を受賞(2006年)して、小説家「宇佐美まこと」としてデビューしたのは50歳のとき。最初はホラーを書いていたが、その後ミステリー、ファンタジー、社会派、歴史物、人間ドラマと幅を広げていき、2017年には第70回日本推理作家協。40会賞を受賞。「昔から読書は好きでしたが、小説家になるとは思ってもいませんでした。好奇心が強く、つい想像が広がっていって、それが文章になっていったんです」という村上さん。そして2024年10月31日(木)には『その時鐘は鳴り響く』を発刊。作中に松山大学とマンドリンクラブが登場するという。これからどんな作品を書き続けてくれるのか、次作以降も楽しみだ。座右の銘サークルに捧げた大学時代あらゆるものを身に付けた兼業小説家としてデビュー作品を通して人間を描きたい好奇心と想像力から着想を得て創造する物語14CREATION NO.223学生時代にPLAY BACK (1976.4~1980.3)本名: 村上 香 (MURAKAMI Kaori)1980年3月 人文学部社会学科卒小説家日本赤軍ダッカで日航機をハイジャック、日中平和友好条約調印、米中国交回復、第2次石油危機、米スリーマイル島原発事故、英サッチャー首相就任、アフガニスタンでクーデター、ソ連軍が侵攻 ほかロッキード事件、田中角栄前首相逮捕、政府が防衛費GNPの1%以内に決定、伊方原発1号機営業運転開始、新東京国際空港開港、日米農産物交渉妥結、オレンジ・牛肉等の輸入枠拡大、国公立初の共通1次学力試験実施、ディスコブーム、インベーダーゲーム流行 ほか新図書館開館、加藤会館を生協売店に改修、御幸グラウンド工事完了、旧本館解体 ほか海外国内学内後輩へのアドバイス学生生活や就職といった目の前のことだけにとらわれず、長いタームで人生を見てほしい。まわり道も無駄ではない。様々な経験を積むことが豊かな人生をつくります。勉強できる環境があるときは勉強も大事。社会人になるとそんな環境をつくるのは難しいから。『その時鐘は鳴り響く』東京創元社東京・赤羽で起こった殺人事件と松山大学マンドリンクラブの卒業生たちがリンクする、慟哭と郷愁のミステリ。INTERVIEW    さんINTERVIEWOG

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